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看護師の造影剤静注は危険 松江単組の取り組み

 松江赤十字病院では、四月から放射線科の医師四名が三名に減ってしまうことから、看護師に造影剤の静脈注射をするように施設側が命じました。それに対して労働組合は、造影剤はアレルギー反応をおこす危険もあり、看護師がやるべきでないと病院側と交渉をもち、医師が減員の間の緊急措置として看護師が行う、そのときの守るべき事項を確認事項として交わし、放射線科の外来に二人の正職員の看護師を配置させました。

看護師の静注実施の経過

 看護師が静脈注射を実施することは、一九五一年以来厚生省医務局長通知により、「医師または歯科医師が行う業務であって、保助看法に規定する看護師の業務の範囲を超えるもの」とされてきました。しかし、二〇〇二年厚労省は「新たな看護のあり方に関する検討会」を設置し、その結論として、看護師による静脈注射の実施は、「看護業務の範囲を超えるもの」から「診療の補助行為の範疇(はんちゅう)として取り扱うもの」と行政解釈が変更されました。
それを受けて、日赤本社看護部は〇二年一一月に通知を出し「看護師を対象とした研修や施設内基準の作成、業務等の見直しにより、安全に実施できるよう配慮して下さい」とし、看護師が静脈注射を実施するための、施設毎のルールづくりをすすめています。
看護協会は、〇三年三月に「静脈注射の実施に関する指針」をだしました。そこでは、「行政解釈の変更によって静脈注射が『診療の補助行為の範疇』とされたことは、『看護師が静脈注射を行っても違法ではない』という意味であり、『看護師が行わなければならない』という意味ではない」として、看護師が静脈注射を実施する場合は、実施者としての責任が問われることになると述べています。
この間、塩化カリウムの静注を看護師が実施して患者さんが死亡した事故が日赤内でもおこり、実施した看護師が裁かれています。また、最近日赤病院ではありませんが、痙攣止めを皮下注射しなければならないものを、看護師が静脈注射をして患者さんが亡くなる事故がおきています。日本医労連の調査によると、看護師が「ヒヤッとした」事故で一位になったのは、「注射」(五七・五%)で、注射に関わる業務(医師の指示受け、準備、管理など)にかかわる事故が多く、業務の拡大によって危険性が増すことも事実なのです。
看護協会の指針では、静脈注射実施のレベルを一〜四段階にわけ、レベル三では、「医師の指示に基づき、一定以上の臨床経験を有し、かつ、専門の教育を受けた看護師のみが実施することができる」とし、その範囲を次のようにしています。○末梢静脈留置針(カテーテル)の挿入、○抗ガン剤等、細胞毒性の強い薬物の静脈注射、点滴静脈注射、○循環動態への影響が大きい薬物の静脈注射、点滴静脈注射、○麻薬の静脈注射、点滴静脈注射です。そして、レベル四は看護師は実施しないとして、○切開、縫合を伴う血管確保、及びそのカテーテル抜去、○中心静脈カテーテルの挿入、抜去、○薬剤過敏症テスト(皮内反応を含む)、○麻酔剤の投与です。
医師不足の現在、本来医師の業務である薬剤の処方の一部を看護師に委譲する動きまであるなかで、安全で安心な医療のために、看護業務の範囲について、労働組合として施設側と充分協議することが必要であり、職場毎の話し合いも大事です。

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