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「防空法」と「国民保護法」

 日本は戦後六〇年を迎えた。私たちは、「あの戦争は何だったのか」考えることが必要であり、憲法改悪など、今の動きを押しとどめるための力にしたい。
 一九三一年、「満州事変」をきっかけに日本は、十五年に及ぶ長い戦争に突入した。一九三七年には「防空法」が制定され、空襲に備えて消防・避難・救護などの訓練「防空演習」が行われた。防空業務の中で負傷者の手当のため、医師や看護師などには、「防空業務従事令書」が交付された。この「令書」には、「医療従事者招集を受けたるときは技能報国の志を堅持して滅私応召すべきものとす」と明記されていた。

医療関係者は「疎開」禁止

「このように医療機関と医療従事者は都市の防空体制の中枢に組み込まれ、疎開する自由がまったく奪われていた。(略)広島に原爆が投下された直後、医療救援に参加した地元の医師はわずか二八人、看護婦は一三〇人に過ぎなかったと言われている。市内にいた大多数の医師、看護婦は疎開を許されず爆心地にいたので、原爆で即死するか被爆して救援に参加できなかったからであった」
 (『戦争と医療―医師たちの十五年戦争』 莇昌三 二〇〇〇かもがわ出版)

 日本赤十字社は、二〇〇三年に成立した「武力攻撃事態対処法」(二条六号)により、日銀・NHKなどとともに指定公共機関とされた。そして、昨年六月いわゆる有事七法案が成立し、国が考える有事法体系の全体像が明らかになった。さらに、二〇〇四年九月政府は、一六〇社の指定公共機関を明記した政令を決定し施行した。

国民保護法・基本指針=国民動員マニュアル

 「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(以下「国民保護法」という)では、日赤について、避難住民の救援(七十七条)と外国人の安否情報の収集(九十九条)が義務づけられた。また、医療の確保の義務(百三十六条)とともに、医療関係者に対しては、医療の実施を「要請」、応じなければ「指示」する(八十五条一項、二項)と明記された。
 指定公共機関は武力攻撃事態等において、「国民の保護のための措置を実施する責務」(三条四項)があり、二〇〇五年度中に、「国民の保護に関する業務計画」を作成し、速やかに報告しなければならない(三六条一項、四項)。この時、内閣総理大臣は、「必要な助言ができる」としている。この「報告」に対する「必要な助言」で、「日本赤十字社の自主性の尊重」(七条一項)は、侵害されることにならないか。
 武力による攻撃には、政治的な原因や理由が存在する。そして、その原因は日本以外でのアメリカの軍事行動に起因すると、政府も考えているのではないか。そのための「米軍行動円滑化法」「特定公共施設利用法」なのではないだろうか。

軍隊は国民を守らない

 自衛隊は、「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務」(自衛隊法三条)としている。守るのは「国家」であって、決して「国民」ではない。このことは沖縄戦などの歴史を見ても明らかである。すなわち、一旦事が起きれば、敵の「侵害排除」より、住民の避難誘導支援を優先することなどあり得ないということだ。
 国民保護法は、有事概念の拡張、民間防衛の問題等あまりに問題が多く、その名称とは裏腹に、「国民動員マニュアル」と言うべきものだが、本稿でそれを明らかにする紙数はない。
 日赤本社は、今年度の事業方針として、「有事法制に対応した体制の整備」、職員への有事対応教育の徹底と救護体制の整備を掲げている。医療者の悲劇は戦地への派遣だけではなかったことはすでに述べた。日本赤十字社が同じ轍を踏むことがないよう、労働組合・全日赤の役割が重要である。

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