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休日出勤手当の協定解釈 協約に基づく正当な賃金

 所定の休日を労働日として他に休日を設けること(いわゆる「振替」)は、労働基準法に定めはありませんが、行政解釈はこれを許容しています(昭23・4・19基收1397)。しかし、所定の休日に出勤することは、当該本人の社会生活のリズムが乱されることであり、それ自体が大きな不利益です。まして、振り替えられて労働日となった所定休日の労働に対して、何の手当も支給されないならば、その不利益は二重にかさむことになります。

労働条件向上は責務

 もともと労働基準法は、最低の労働条件の基準を定めるものであって、労働基準法所定の労働条件の向上を図ることが労使双方の責務とされています(同法第1条2項)。従って、休日の振り替えを許容する前記の行政解釈を前提にしても、労働契約により、所定の休日の労働に対して、振り替えられて労働日となった場合においても休日労働と同様の手当を支給して、上記の不利益を補てんすることは、もとより労働基準法の本旨にかなうものであり、労働契約上もまったく有効です。

労働協約について

 全日赤と日本赤十字社との間には、全日赤に所属する職員の労働条件について労働協約が締結されています。この労働協約第20条では「休日」が定められており、さらに同第18条で「休日出勤」に対して割り増し賃金を支払うと定めています。従って、日曜日、祝日、本社創立記念日、年末年始等の「休日」に出勤した職員には、この労働協約に基づき割り増し賃金が支払われなければなりません。

賃金協定について

 また、賃金協定第30条で、時間外手当の支給と、休日出勤の場合には割り増し賃金の支払いをすると定めています。
 他方、賃金協定第28条では、休日の振替え≠ノついて以下のように規定されています。
 (1) 同条2項「日曜日は勤務を要しない日とする」
 (2) 同条3項「交代制及び断続的勤務に従事する職員の、勤務を要しない日につき、前項の定めにかかわらず、別に定めることができる」
 この規定は、上記「休日」(労働協約第20条)のうち、「日曜日」のみを「勤務を要しない日」として、交代制及び断続的勤務に従事する職員について、「日曜日」にも勤務を命ずることができるようにしたものです。
 しかしこの規定は、以下のとおり「日曜日」に出勤した職員に対して、休日出勤手当を支給しなくてもよいとするものではありません。
 (1)この規定は、「日曜日」にも勤務を命ずることができるとしただけのものであり、(2)賃金協定第30の規定を明確に排除したものでなく、(3)日曜日休日を「別の定め」により別の日を休日としたとしても、その日曜日出勤について、労働協約により休日出勤手当を支給すると規定してもまったく適法であり問題はない。
 実際、日曜日の出勤は、例え他の平日を休日としたとしても、家庭、社会・地域活動等での支障が大きいことは明白です。従って、日曜日出勤についても、賃金協定第30に基づき休日出勤手当の支給がなされなくてはならず、これを支給しない場合には、労働協約(賃金協定)に違反することになります。
 そして、賃金協定は、労基法第92条1項により、労働協約として就業規則に優先する法的効力を持ちます。

本社就業規則準則(施設就業規則)について

 日赤側は、就業規則準則第22条第2項で、日曜日や土曜日、祝日を含むすべての「休日」について、「交替制勤務者」等と列挙した職員すべてについて勤務割表(様式第4号)によって別の日を休日と定めることができ、また第3項で業務上必要があるときはその「休日」を休日以外の日に振り替えることができると主張しています。
 確かに、この就業規則の規定だけをみれば、日曜日や土曜日、祝日を含むすべての「休日」について振り替えが可能であり、その場合には日曜日などの「休日」に出勤しても休日出勤として扱わない、すなわち休日出勤手当を支給しなくてもよいかのように見えます。
 しかしこれは、使用者が一方的に定めることができる「就業規則」ですから、労働協約(賃金協定)に定めた労働条件を一方的に切り下げることはできません(労働基準法第92条)。
 前述のとおり、労働協約(賃金協定)では、日曜日や土曜日、祝日などの「休日」に出勤させて別の日を休日に振り替えたとしても、休日出勤手当(割り増し賃金)を支払わなくてはならず、このことは就業規則でもって変更することはできないものです。
 就業規則を改定することによって手当をカットすることは、労働基準法の改正によって、休日労働に対する割り増し賃金の率を引き上げて休日労働を減らし、労働者の労働条件を向上させようとした流れにも逆行するものです。

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