■ネットワーク
「ナースコールが鳴らないよう看護をしよう」先輩方が組合会議でよく言っていた。ナースコールには必ず理由がある。退室前にもう一度病室を振り返る、時には見守る…などを教わった▼勤続30年の中でナースコールも変化した。昔は詰所に戻らないと誰が呼んだか判らずウロウロしていた時代からポケベル、PHSへ。即座に対応可能、訪室できる。でもすぐに部屋から出てしまう人も多い▼近年は認知症高齢患者の増加に伴い、ナースコールが認識できない、押せない人もおられセンサーを使用。訪室しないと鳴った理由はわからない「今度は何ですか?」と強い口調でスピーチロック。ナースコールを鳴らさない看護は鳴らさせない看護に変容してはいないだろうか▼ある深夜勤、忙しく走り回っていた。寝たり起きたりを繰り返す(=センサーはそのつど鳴る)患者さんに〈10分だけ、無理なら5分だけ今ここに居よう〉と自分に言い聞かして付き添った。排泄介助したあとは「ありがとう。ちょっと寝るわ」と眠りにつかれたのを確認、部屋をあとにした。何をしたかというと何もしていない、安心感だけがあったのではないだろうか。優先順位を問われる職場であるが〈今ここに居よう〉の決意の積み重ねこそが看護を積み重ねていくと信じたい。(N) |