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機関紙「日赤労働者」

2021年春闘
勤務評定による賃金制度阻止、働き続けられる職場と生活できる賃金・労働条件を勝ち取り政治革新を追及する春闘

書記長に聞く

 Rプラン撤回における交渉の到達点を確認し、春闘の要求とたたかい方を決定するために、2021春闘臨時大会が2月6日(土)に開催されます。コロナ禍における賃上げと一時金決定の最低基準額を交渉する春闘となります。今春闘のたたかい方について書記長に聞きました。

なぜ臨時大会なのですか?

 例年、春闘方針は「中央委員会」を開催し議論してきましたが、今年「臨時大会」としたのは、昨年、コロナ禍により定期大会を中止したことで2020年度の役員体制は前年度の留任で執行している状況です。また規約上、大会でしか決定できない規約改正と役員選挙をおこなうため臨時大会としました。

コロナ禍は変わっていないが開催するの?

 昨年は、リアルに集まれないなかで大会は成立できないと判断し中止としましたが、ウエブ(オンライン)による会議開催が定着するなかで、「ウエブによる参加を出席とみなす」と規約解釈の変更を単組の了承を得て、コロナ禍であっても臨時大会(臨大)を開催するものです。

臨大で決めることは何ですか?

 春闘要求と春闘方針が主な議題ですが、それらを決めるにあたってRプランにおける交渉の到達点を確認する必要があります。中央執行委員会は、現時点での到達点において合意した上で、継続協議とさせた勤務評定による賃金制度導入阻止のたたかい方を提案しています。
 また出席代議員による直接無記名投票にて決定しなければならない、(1)統一要求に対するスト権、(2)規約改正案、(3)2020年度本部役員選挙については、臨時大会後に通信投票をおこないます。

コロナ禍の春闘情勢はどうなっていますか?

 昨年秋の報道では「2021年の春闘賃上げ率は2013年以来の2%割れと予測される」と労働者側に不利な状況であると分析しています。しかし大企業の純利益は3割減で黒字であり内部留保も19兆円も増加しています。
 また病院経営も行政からの助成金等により黒字になったとの報告もあり、今こそ政府に大企業優遇の政策から新型コロナ対策を含め国民の命と生活を守らせることを迫らなければなりません。

賃上げ要求額を含め春闘要求は?

 賃上げ要求額については、「生計費原則」に則った議論を進めながら、2020年度要求アンケートの集約結果を重視しながら日本医労連の賃上げ要求(4万円要求・看護師初任給27万円以上)を参考に賃金専門委員会での議論を踏まえ春闘臨時大会で提案します。
 また、中労委あっせん案受諾後の賃金改善についても新たな要求を練り上げ、春闘から追及を開始します。

春闘をどうたたかいますか?

 本社は、「Rプラン」という日赤独自の賃金体系の導入を提案し継続協議とさせましたが、俸給表は人事院勧告を基にしていますし、2020年度の賃金改定も人事院勧告にならい「据え置く」と回答するなど基本方針は変わっていません。
 本社は「世間並み」を主張しますので、まず世間の賃上げ情勢を押し上げます。そのために最低賃金の引き上げを重点とした取り組みを強化します。
 また、生計費原則に基づく賃上げを追及するとともに、コロナ禍で奮闘している職員に報いるためにも大幅賃上げをおこなうことを求めます。
 そのことが看護師をはじめとする医療労働者の人材確保につながり、医療労働者の確保が安全で安心できる医療を確保するものであることに確信を持ち本社・施設追及を強めます。
 次に、医療や福祉で働く労働者が世間並みの賃上げをおこなえば施設が成り立たなくなる現状を世間に訴え、政府の政策を軍事拡大ではなく社会保障充実へと転換させます。
 そうした中で、日赤本社に対しては、人事院勧告に依らない真に世間並みの賃上げを自主的におこなうよう追及し、春期決着を目指します。

「Rプラン」の勤務評定による賃金制度をどのように阻止しますか?   

 本社から勤務評定について、「グレードの基本定義」に加え「グレードの詳細定義」など概要について提示されましたが、評価の方法については正式に提案されていません。
 全日赤は、過去の勤務評定を賃金反映させなかった闘争に学び全日赤の総力を挙げてたたかいます。当面、勤務評定が医療・福祉の職場には馴染まないことをしらせるとともに、新たに導入しようとしている勤務評定の「グレードの基本定義」や「グレードの詳細定義」に関して客観性がないことを宣伝します。
 本社の「新たな勤務評定」の全容が明らかとなった後、公平・公正に評価できないものであることを宣伝します。
 また本社は、賃金反映の方法についても明らかにしていません。しかし「限りある賃金資源の効果的活用」を掲げていることからも相対評価により賃金を抑制することは明らかです。そこには恣意的な判断となる可能性が高く、不満が生まれます。評価をする手間が増える一方で、患者・利用者のためにはならないことをしらせながら施設に反対を表明するよう追及します。
 勤務評定による賃金制度導入反対の新たな署名もおこないます。

一時金の交渉はどうなりますか?

 一昨年、合意した内容で昨年は「基本額」を年間3ヵ月とすることを本部本社間の交渉で決めました。コロナ禍により、十分なたたかいができなかったこともありますが、その後、ウエブによる本社要請行動という新たな取り組みも実践できており、今春闘では、「基本額」要求を決定し、コロナ禍でのたたかい方も意志統一しながら、統一ストライキを背景に「どこの日赤施設の職員も世間並みの一時金」を追及します。
 その後、単組ごとに「基本額+加算額」の要求と単組スト権の確立をおこないながら施設と交渉して一時金を決定します。

展望はありますか?

 「Rプラン」とのたたかいでは、運動が大きく前進し、一定の成果を勝ち取りました。撤回には至らず諸手当および退職金制度の改悪も余儀なくされましたが、Rプランの根幹である勤務評定による賃金制度は継続協議とさせたことや諸手当および退縮金制度改悪でも一定の譲歩を引き出したのは、2万2千筆を超える署名を集約した運動の成果です。
 また、昨年末での一時金闘争では、コロナ禍であっても必死にがんばっている職員の声を結集し粘りつよくたたかって引き下げ回答を一定押し戻した経験やコロナ禍でのストライキを成功させて施設から二次回答を引き出した経験もあります。
 諦めることなくたたかえば必ず要求は前進します。たたかうためには日頃の鍛錬が必要であり、労働組合で言うところの日常活動や教育宣伝活動を通じて組合員の団結を固めることです。
 また同時に理論武装も必要です。労働基準法などの法律的な知識や情勢および労働組合についての学習をしておけば交渉も有利に進められます。いざストライキでたたかおうとみんなが決意してもストライキのやり方が分からなければたたかえません。
 そうした労働組合の原点に立ち返った学習と徹底した職場討議を重視した春闘を展開し、たたかう労働組合の体力をつければ展望は開けます。

どうやって団結を強めますか?

 労働組合は、要求で団結する組織です。要求討議を徹底しておこないます。まず組合員の要求を聞き取り、その要求が組合全体の要求となるか討議するとともに、どうすれば要求実現ができるかたたかい方を含めて意思統一を固めます。
 また、経営者によっては「4万円賃上げなんて常識がない」などと非難する言い方をする人もいますが、組合の弱体化を狙ったものであれば不当労働行為にあたります。
 毅然として反論する必要がありますが、要求の根拠をしつかりと議論しておけば団結を崩されることはありません。

職場は忙しすぎて集まれません

 あきらめたら終わりです。その忙しい状況を改善するためにも労働組合として要求し改善を勝ち取る必要があります。組合役員は創意工夫をこらして話し合いの場(カレーの集い・給与明細の見方勉強会など)を設けます。組合員1人ひとりも少し努力し、話し合いに参加し自分の意見や要求を語りあいます。忙しすぎて情報が途絶えると賃金や労働条件での間違いがあっても気づかなくなります。今春闘では、サービス・不払い残業一掃の取り組みを一層強化します。また俸給の格付け違いや手当支給の間違いなどがないかどうか点検を強めます。労働基準法や賃金協定というルールに従って支払うべき賃金はきっちりと支払わせます。
 また嘱託・臨時・パート職員の賃金労働条件改善にも取り組みます。
 単組では、ラインを活用して情報伝達など新たなツールの活用による意志統一の報告もあります。またRプランの学習もウエブでの学習会もおこないました。一方向のみならず話し合うことを重視し意志統一を図っていきます。

政治的課題は馴染まないと思いますが?

 そんなことは決してありません。生活や働き方は政治と切り離せないものです。消費増税で生活が苦しくなるのも政治に関係することですし、消費税を無くしてほしいと要求することは政治的課題です。たしかに使用者に政治的課題を要求しても解決できませんが、「一緒に声を上げてほしい」との要求に対しては回答できます。夜勤改善・大幅増員の署名を集めて国会に提出し夜勤労働の規制を政治に求めます。
 新型コロナ対策は政治を動かし抜本的に動かさなければ解決しない問題だと考えます。

組合を大きくするための取り組みは?

 要求を実現させるために、組合が大きく強くなる必要があります。そのことを全単組・全組合員が認識し組織拡大の取り組みに参加するようにします。
 昨年は「Rプラン」反対を訴えて組合員が増えています。昨年秋には「わくわくの日」を中心に「ガンバルマン」に加えて「声かけマン」も広がりました。
 春闘では3月11日を春の「わくわくの日」と位置づけ全国一斉に組織拡大に取り組み、「声かけマンプラス」の取り組みは3月〜5月までおこないます。また新採用者への働きかけも早い時期から準備をすすめ、100%加入をめざし奮闘します。

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