■一時金の基本額(最低基準)妥結
経過と単組の意見集約
一時金決定の新たな仕組み(基本額+加算額)となったなかで、初めての春闘本社交渉となりました。全日赤は2月開催の2019年度第2回中央委員会にて、世間並みの一時金を春闘要求に盛り込み、妥結基準を決定しました。
新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が出されるなか、本社要請行動やストライキを中止せざるを得ない状況となり、十分な闘争態勢が組めないなか、本部は4月22日の本社団交に向けて全単組にたたかいの方向性について意見を求めたうえで本社追及をおこないました。しかし、減額規定の実施時期見送りなど若干の前進回答はあったものの一時金基本額の月数回答3ヵ月を前進させるにはいたりませんでした。本部は、若干の前進と協定化(一方的に実施はさせない)を重視し、妥結すること提案しました。
本部提案に賛成の単組は19単組で、反対は6単組でした。反対のうち今後のたたかい方に関して意見をいただいた単組は1単組でした。反対の多くは基本額が年間3ヵ月となれば、単組の一時金も年間3ヵ月となってしまうと心配することからの意見だと類推できるものでした。本部は再度、団交を5月8日に申し入れ全単組からの本社要請FAXに取り組みました。
5月8日の本社団交は、新型コロナウイルス感染防止のためWeb開催となりました。年間月数は動かなかったものの新型コロナウイルス手当および減額規定再考の内容を確認するなど前回団交より前進した回答を引き出したことを評価し、5月16日の中央執行委員会Web会議にて妥結することを決定しました。
妥結の内容と妥結を判断した理由は次のとおりです。
(1)妥結内容
(1)2020年度の一時金基本額は年間3ヵ月とする。
(2)判断した理由
(1)団交で「一時金の基本額はあくまでも最低保障額であって加算額は施設と単組の交渉で決める。加算額に上限を設けたり、逆に引き下げを目的として基本額を決めたりするものではない」と口頭確認を得たこと。
(2)減額規定については、実施時期(6月1日を12月1日に‥2021年夏期一時金より実施)見送りと全日赤要求に沿って提案内容を再考すると回答したこと。そして全日赤要求は育児短時間勤務者については協定どおりとすることであるとの認識を表明させたこと。
(3)新型コロナウイルス感染症特別業務手当の3000円を回答・実施したこと。
(4)以上の前進回答を引き出すなかで、中央労働委員会へのあっせん申請は、第三者から見て「一時金が決まったわけではなく今後の施設交渉はでき、本社も譲歩している」と本社側に有利になることが想像できることから得策ではない。
単組一時金交渉とスト権
一時金は、本部本社間交渉で決める「基本額」と単組施設交渉で決める「加算額」の合計となります。「基本額」は年間3ヵ月となりましたので、その半分の1・5ヵ月が夏期一時金の基本額となります。単組では中央委員会の決定に基づき単組要求を提出し、スト権の確立しながら施設との交渉により一時金を決定します。
夏期要求に対する回答指定日は6月3日で、その翌日6月4日は統一行動日です。今までは一時金の決定権が施設長にあるなかで、全日赤は「最低基準づくり」の統一要求をもとに本社追及してきましたが、今年度からは一時金についての本社追及は「施設支援の具体化」になります。「加算額」要求に対するスト権は、単組施設間交渉において重要となります。
夏期休暇
夏期休暇については、特別有給休暇の3日を無くし、夏に限定した年次有給休暇「夏休み」に切り替えて初めての夏期闘争となります。全日赤統一要求からは夏期休暇の要求は一旦取り下げました。単組要求は「夏休み」に加えて独自の特別有給休暇や計画年休の拡大など組合員の意見を聞きながら要求化し交渉します。 |