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機関紙「日赤労働者」

賃金の不足感、賃上げ要求変わらず
2019年
春闘要求アンケート

 2019年春闘での要求アンケートは、17単組1386名分を集約しました。職場の不満では、昨年同様「賃金安い」がトップとなり、要求の不足感も要求額もともに昨年と同様の結果を示しています。

賃金が安いがトップ

 職場の不満に関する問のトップ3は昨年と変わらず1位が「賃金が安い」(16・6%)で一番多く、次いで「人員が少ない」(15・2%)で、三番目が「休みが取れない」(12・7%)となりました。
 昨年比では、トップの「賃金が安い」が昨年より1・1ポイント減少し、「人員少ない」は昨年より0・1ポイント増加しました。
 そのほか昨年より割合が増えたのは、(3)「成果能力主義が強まった」と、(2)「一時金少ない」と、(13)「医療看護の内容悪い」が0・2ポイント増、(10)「退職金が少ない」と、(15)「人間関係が悪い」と、(20)「パワハラ・セクハラ」が0・1ポイント増です。
 逆に昨年より割合が減ったのは、(5)「時間外が多い」0・7ポイント減、(3)「仕事がきつい」と、(4)「労働時間が長い」と、(14)「教育制度が悪い」がともに0・3ポイント減、(7)「夜勤多い」が0・2ポイント減、(12)「母性保護なし」0・1ポイント減となっています。
昨年の賃上げも4月遡及でなかった事で賃金に対する不満が強まったと思われます。

60歳代「苦しい」生活実態

 生活実態では、「かなり苦しい」と「やや苦しい」を合わせた「苦しい」と答えた人は、昨年より1・3ポイント減少しましたが、41・4%となりました。
 年齢別で見ると「苦しい」と答える割合が、60歳代が一番多く65%と、40歳代の45・9%、50歳代の46・5%とともに高割合になっています。
 また収入が「増えた」は若年層ほど高くなっていますが、どの年代でもトップ回答は「変わらない」で全て半数を超えており、40歳代では66・4%となっています。全体でも「変わらない」の割合が2ポイント減ったものの57・9%となっています。
 連続のベースアップではあったものの保険料など年々増額されており、収入が増えた実感がないのが実態です。
 また、高年齢層の賃上げ率は低く、現給保障が続いている年代はベアがあっても賃上げになっていない状況を反映しています。

住宅費・学費が負担

 生活実感から負担に感じているものは、全体で「住宅費」(21・8%)が一番多く、次いで、(7)「学費」(21・4%)、(9)「社会保障」(20・1%)(2)「食費」(15・6%)となっています。
 年齢別で見て10%以上あるものは、20歳代で(2)「住居費」(9)「社会保障」(1)「食費」(5)「交通費」(8)「奨学金」、30歳代で(2)「住居費」(9)「社会保障」(7)「学費」(1)「食費」、40歳代で(7)「学費」(2)「住居費」(9)「社会保障」(1)「食費」、50歳代で(7)「学費」(9)「社会保障」(2)「住居費」(1)「食費」となっています。
 就学児を養育していると考えられる40歳代以上では、支出は増加するが収入が増えず生活が苦しくなっていると考えられます。

不足感4万以上

 「賃金の不足感」では昨年より平均1021円減少し、4万5513円となり、賃上げ要求額も昨年より772円減少し、平均2万7118円となりました。
 要求額の平均は、多少変動があるものの昨年と同じ不足額4万円台、要求額3万弱の数字となりました。
 要求額は切り上げて誰でも2万8千円の賃上げを要求し、併せて日赤の賃金体系が医労連の要求から見て下回ることから、体系是正含め4万円を要求としました。

「とても疲れてる」増加

 身体の疲れに関しては、昨年同様「とても疲れてる」「やや疲れてる」を合わせて9割以上(97%)が「疲れている」と答えて昨年と同等ですが、「とても疲れている」が9・1ポイント増加している状況です。

残業時間は減少傾向、しかし、残業無くならず

 時間外労働の平均時間は、12時間56分と昨年より約11分減少していますが残業は無くならない状況が続いています。また残業時間の設問に対する有効回答1337名のうち14名(1%)が50時間以上の残業をしていると答え、過労死ラインである80時間超えは3名(0・2%)もいました。
 またサービス残業も平均4時間14分で昨年より49分減少していますが、10時間までのサービス残業は増加しています。平均のサービス残業時間を平均残業時間で割った「サービス残業率」は32・7%と昨年より3・9ポイント改善されていますが、月4時間14分のサービス残業を賃金に換算すると日赤全体の平均俸給額から計算して月額約1万67円、日赤全体で約6・5億円にもなります。

時間外手当請求しづらい

 時間外手当を請求しできなかったなことがあるかの質問に対して「よくある」「たまにある」を合わせて81・7%が「できなかったことがある」と答え、昨年よりは6・4ポイント増加しており、依然として約8割の人が「請求できない」状況です。その理由で一番多いのは、昨年と同様に「周りがみんなしていない」で昨年よりも0・4ポイント減少していますが41・2%で、次いで「自分の能力の問題」31・6%でした。
 また時間外請求しない時間帯として、始業前の約5割、休憩時間帯では約4割が請求しないことが「よくある」と答えています。加えて「時間外手当が支払われる事例」で、看護職では「看護記録」が86・7%、「医師の指示受け」80・5%、「看護計画」74・1%、「申し送り」71・6%、「退院・転院サマリー」67・6%と回答者の過半数を超えていますが、全職種で「支払われない事例」は、始業時間前の情報収集や機械準備が4割を超えています。
 黙示の指示や休憩の取らせ方、何が労働時間になるのかについても追及する必要があります。

年休取得「5日」が義務化 3割が「まったくない」

年休取得日数は増加

 年休の取得平均日数は昨年より0・8日増加し平均8・6日となっていますが、5日以下の取得が27%となっており「年休5日義務化」に抵触している実態です。
 年齢別では、若年層ほど取得日数は低くい傾向があり、職種別では回答者数の少ない医師・介護職・保育を除くと事務職が取得日数は一番少なく、次いで医療技術者、看護師、技術業務職となっています。
 年休を請求したことがあるかの質問に対して、無回答を除くと「まったくない」と答えたのが、昨年よりも6・7ポイント減少していますが約3割でした。
 請求しない理由では、「みんなが請求しない」と「職場に迷惑がかかる」が昨年と変わりなく約3割で、「休み希望するので年休請求しない」が2割強となっています。請求しやすい雰囲気をみんなで作り、施設に「人手が足りない」ことを報せながら、増員を勝ち取ることで迷惑もかからなくなる考え方「年休請求は増員闘争」を広げる必要があります。

安保法制・憲法9条改悪「わからない」

 全日赤独自の設問で「安保法制(戦争法)は憲法違反と思うか」に対して、「憲法違反である」と答えたのは、回答者中32・3%(昨年34・3%、一昨年37%)と減少、「わからない」が57・7%(昨年54・7%、一昨年52・4%)と上昇傾向で、無回答も全体の約37%となっています。
 また、憲法9条の「改正」についても同様に無回答と「分からない」を合わせると約7割が関心を寄せていないことになります。職場での宣伝・議論不足が浮き彫りになっており、引き続き安保法制(戦争法)廃止と憲法改悪反対の運動を広げる必要があります。

ハラスメント増加

 ハラスメントの設問で「よくある」「たまにある」を合わせて「職場・施設にハラスメントがある」と答えたのが60・5%(昨年58・4%、一昨年54・5%)と増加傾向にあります。本社のハラスメント防止ハンドブックが発表された年は減少しましたが、依然としてハラスメントがあり、さらなる防止策が必要です。
 パワハラの種類では、「無視・冷淡な態度」が一番多く、次いで「嫌悪感など心理的追い込み」「何度も一方的にミスを非難」と続いています。また37・9%がどこに相談すればよいかわからないと答え、約3割が「院内の指定した窓口」としています。

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