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機関紙「日赤労働者」

2018年度 賃金交渉 本社「賃上げなし」も検討

 2018年度賃金交渉で8月31日の団体交渉において、本社は「まだ回答できない」と世間は賃上げ傾向にあること認めるも「経営状況は昨年より厳しく、今の段階では賃上げなしも視野に入れざるをえない」との姿勢を示しました。

世間は賃上げ

  本社が、世間並みの指標としている人事院勧告は、「655円、0・16%」の民間格差があるとして、「初任給を1500円引上げ。若年層についても1000円程度の改定、その他は、それぞれ400円の引上げを基本に改定(平均改定率0・2%)」をおこなうよう勧告しています。また、一時金の引き上げ(0・05月)と月例給の引上げは5年連続となっています。
 8月31日の団交では、本社は「世間並みの賃金とする方針に変わりはない」と言い、今年度の状況についても「例年指標としている人事院の民間給与実態調査や経団連などの春闘回答をみても賃上げ方向であることは認識している」と世間は賃上げ傾向にあることを認めています。

昨年に増して赤字攻撃

 本社より4月末に「昨年同様、日赤全体の経営状況について説明したい」と「経営説明団交」の申し入れがあり、6月29日に午前9時から3時間にわたり@一般会計、A福祉施設特別会計、B血液事業特別会計、C医療施設特別会計について説明を受けました。概要は、きわめて厳しい経営状況が続いているものの改善傾向にあるというものでした。
 しかし、8月31日の団交では、「4月以降3ヵ月間の速報値は、昨年同期よりも悪く、現段階では賃上げなしも視野に入れて検討せざるを得ない状況である」との考え方を示しました。

2年連続の世間並以下は許せない

 全日赤が「昨年も中労委のあっせんも受けながら11ヵ月遅れの賃上げであった。『今年は昨年より赤字が大きいから賃上げなし』ではモチベーションがさがる」と追及したのに対し、本社は「定期昇給は実施しており、実質賃金は上がっている。賃下げやリストラを提案しているわけではない」と反論しました。
 しかし、従来より定期昇給に加えてベースアップも含め世間並みとしてきたものであり横柄な姿勢であると言わざるをえません。

労働者に赤字の責任はない

 労働者に赤字の責任を押しつけるような「人件費抑制」は断じて許すわけにはいきません。赤字になるのは経営者の努力が足りないわけですが、診療報酬のマイナス改定(全体では1・19%引き下げ)など医療を取り巻く情勢が厳しいのも確かです。
本社が「職員の生活を守る姿勢に変わりない」と言うのであれば、国の医療政策を変える努力もおこなうべきです。

賃上げ必要の世論を

 日赤は、第73回定期全国大会において、「本社が2018年度のベースアップを昨年のように2018年4月遡及を実施しない動きが見えた場合には「生活改善めざす賃金・一時金要求実現職員家族署名」の取り組みを開始する」こととしましたが、中央闘争委員会の判断で8月20日より署名を開始しています。また本社への一言メッセージ運動に取り組みながら「賃上げ必要」の施設内世論を巻き起こすことを決定しました。引き続き「生活できる賃金」「世間並みの賃金」「社会的責任に見合った賃金」を求め賃上げ回答と4月遡及を追及します。

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