■新春座談会 連続拡大のヒケツ
みんなで支え合い歩き続けた13年
「なんか操作してるって?いえガチです」
「事務所に寄るのが日課、寄らないと落ちつかない」
拡大連続記録 更新中
松江単組は、2017年11月、全日赤の連続拡大の新記録(166ヵ月・13年10ヵ月)を更新しました。山城圭進委員長、佐野みどり副委員長、青山直子書記長、安達加奈子書記次長、川井千鶴子書記、松江単組OBの西尾糸子さんの6名にお集まりいただき、連続拡大に取り組んでいる様子や声かけで気をつけていることなどお聞きしました。
連続拡大のきっかけ
松江単組が連続拡大をはじめたのは、2004年2月のことでした。「私が声かけした人が連続拡大の最初だった」と青山書記長。長年、松江単組書記長として、組織担当者として奮闘してこられたOB西尾さんは「連続拡大を続けている単組がいくつかあって、本部から『連続拡大するように』言われていたけど、できませんって思っていた。だけど、気がつくと10ヵ月くらい連続拡大が続いていて、もしかしたらできるんじゃないかと思って始めた」と当時を振り返りました。「今は西尾さんの意思を引き継いで、青山さんと安達さんが中心となって連続拡大を続けています」と山城委員長。「連続拡大って言うと『なんか操作していませんか?』と聞かれるけどガチです」と青山書記長。廊下を歩いているとき声をかける人がいないか見渡し、「あの人、組合員じゃないな」と分かると声をかけたり、その場に偶然通りかかった組合員にも協力を得たりと、あの時はこうだったと拡大のエピソードが続々と出てきました。
一人の力じゃない
「なんと言ってもなかなか加入者がいなかった時の月末がしんどい。何度も危機がきたけど、執行委員などみんなに『誰かおらん?頼むよ〜』と声をかけると、『任せて』と応えてくれる人も増えてきた。決して一人の力ではない」と、青山書記長と安達書記次長。声かけしてくれる人をどうやって増やしていったのか尋ねると、「全日赤の会議や集会、県医労連などの集会に参加してもらい、だんだんと『組合の大切さ』や『連続拡大の意義』を感じてもらい意識が変わっていたんじゃないかな」とのこと。組織を増やしたいとの思いは伝わると実感しているそうです。
要求とリンクした声かけ
拡大の時の声かけでは、対象者の状況の変化(例えば、近々結婚する。妊娠した。2交替になった)や職場での問題など、情報を集めたり、話を聞いたりして、どんな要求があるのかつかみ、対象者との信頼関係を作っていくことが大事で、その時に、同じ職場の組合員が「組合に入って」と後押しすることも効果的だそう。山城委員長は「要求とリンクした組合活動をしていくこと。日常活動をちゃんとして、執行部の姿をみせることが重要なんです」と語っていました。
職場で支持される活動
「一時金などの闘争時期はビラで、施設の回答内容や組合の考えを配布しているので組合の活動を伝えやすい」と山城委員長。2017年の年末一時金では削減反対の署名は組合員数を超える520筆を施設側に突きつけました。また、抗議ファックス要請に全国の単組が応え、事務長の「組合員数より多い署名の数も全国からのファックスも見ている」との発言もあり、職場で労働組合の活動が支持されていることがわかります。
やはり数は力
また、青山書記長は「声かけした時に『何にもできません』と言う人もいるけど、病院と組合の綱引きで労働条件がきまる。綱を引く人が多ければ多いほど力が大きくなる。一緒に綱を持つ人になってほしいと話すようにしています」と。OBの西尾さんは、「数の力を実感したのは組合員が200名を超えたくらいから。それまでは、いくら要求しても病院は応えることが少なかったが、人数が増えてくると対応も変わってきて要求も通るようになった」と昔を振り返ります。組合事務所の資料には、歴代の加入書の束があり、組合の歴史の深さを感じました。
仲間に支えられ
「やはり、ショックなのは脱退」と、青山書記長と安達書記次長。OBの西尾さんは「そうだが〜。そんな時は、気分を変えて違う職場で増やす。脱退した人も、別のきっかけで再加入することもあるし、気にしていたらめげてしまうけん」との発言に、みなさんも頷きます。「信頼される役員になるためには、仕事もがんばって、その人の話もきいて、本当にたいへん。だけど、ストレスが溜まった時に、安達さんや佐野さん、川井さんも話をきいてくれることが支え」と青山書記長。「私も聞いてもらっていますよ〜」と、お互い支えあっている感じがしました。
多くの声が聞きたい
青山書記長は、「現在、420名の組合員がいるけど、ひとり一人の話(思い)を聞けていないのではないかと思っている。なので、賃金支払日の行動として『しゃべり場』を企画しているけど、なかなか参加してもらえなくて・・・。通りかかる人に声かけて捕まえる感じ」と、職員との対話に苦労をにじませます。しかし、『しゃべり場』で、賃金表の見方や医労連共済の説明をしたり、職場の状況を話したりすることで、賃金の間違いが見つかったり、共済の加入につながったりしているそうです。
新歓での取り組み
「ずっと新歓行事は苦手だった」とOBの西尾さん。「わからないうちに労働組合に加入させるのは責任持てないと思っていた。他の単組が新歓でたくさん入るのが不思議だった」とのこと。しかし、労働組合は、悪いことをしているわけでもないし、地域の医療を守り、働き続けられる職場を作っていくことが目的で労働者は入って当たり前の組織。みんなが入るのが前提だから、新歓も取り組みのひとつだと思えるようになりました。新入職員のオリエンテーション時に新歓グッズを配布し、若手組合員から訴えをしたり、他の単組でおこなっていた寸劇をしたり(準備不足もあった模様)といろんなことに挑戦してきました。そして、「そろそろ考えんといけんね」と言っていました。
組織共済も好評
また松江単組では、医労連共済の組織一律型に加入しています。組合費の485円分を共済費にあて、慶弔4口・交通災害0・85口に加入しています。例えば、松江単組の組合員が結婚した場合、32000円が給付されます。「組合員が『本当に、もらっていいんですか?組合に入ったばっかりですけど』と言うんです。『当然、組合員だからもらえるんですよ』と言っています」と、たいへん好評な様子が伝わりました。また「結婚だけでなく、子の出生や小学校入学、住宅災害など給付対象がいろいろあるので、組合員さんに支給対象の表をつけてお知らせしています」と、給付に漏れがないよう工夫をしています。
個人共済も広めたい
そして、組合員だからこそ入れる個人共済にも力をいれています。「医労連共済の会議に出席して、給付内容など学んだことを広めています」と安達書記次長。「手続きも、そんなに難しくないですよ」とのこと。「保険会社の方が『この保障はすごいですね』と驚いていたんです」と山城委員長。「はやく『がん特約』が始まることを期待しています。もっと共済を勧めやすくなります」とのこと。医労連共済は掛金の7割を給付に充てていて、給付内容も医労連共済の運営委員会で議論し、医労連大会で承認される仕組みです。共済加入員が増えると給付内容も充実させることができます。「民間保険と比べると安い掛け金で保障が充実。この保障が得られるのは組合員だけ」と組合費が高いという方にこそオススメしたいとのことです。青山書記長も安達書記次長も「個人共済に入っていて良かった」と、医療給付を受けたからこそ個人共済の良さを実感しています。「もっと内容を知らせて個人共済の加入者を増やしていきたいです」とのことでした。
集まれる組合事務所
「昼休みと終業後は組合事務所に寄ることが日課になってて・・・寄らないと落ち着かない」と山城委員長。現在、執行委員は30名。執行委員会は、第1木曜日を定例としています。日々の連絡はLINEも活用し、情報を共有もしていますが、17時ごろになるとぼちぼち組合事務所に集まってくるそうです。
みんながホッとして集まりやすい雰囲気を、専従書記の川井さんが作っているようです。
◇ ◇
取材を通して、信頼できる仲間がいること、一緒に悩みを共有し、共に活動できる仲間がいること、一人ひとりが労働組合を支えていることを実感できました。また12月にも看護師1名が加入し連続拡大記録(167ヵ月)を更新しました。松江単組のみなさん、ありがとうございました。 |