■中村書記長に聴く
'17春闘のたたかいかた
政治を変えて賃金の底上げ
人勧準拠打破の春闘
春闘の要求とたたかい方を決定するために、全日赤2016年度第1回中央委員会が2月4日(土)から5日(日)にかけて開催されます。
昨年末にストを背景にして要求を前進させたたたかいを教訓としながら、2017年春闘のたたかい方を決定します。
今春闘のたたかい方について書記長に聞きました。
春闘情勢はどうなっていますか?
昨年秋の報道によると、連合は「2017春季生活闘争では、昨年同様2%以上のベアを求める」とあり、経団連は「2017年春闘に向け経営側の指針を検討する経営労働政策特別委員会(経労委)の会合を開き、4年連続で会員企業に対して積極的な賃上げを呼びかけていく方針で一致しました」と報じられています。
また第一生命経済研究所の11月17日付けレポートでは「2017年の春闘賃上げ率を2・06%と予測する。政府が強く賃上げを要請していることから4年連続でベースアップは実施されるだろうが、その伸びは昨年(0・34%)を下回る可能性が高い」と予測発表しています。
春闘をどうたたかいますか?
賃金交渉において、日赤本社は「世間並み」を主張しますので、まず世間の賃上げ情勢を押し上げます。そのために最低賃金の引き上げを重点とし取り組みを強化します。
アベノミクスでは、実質賃金は上がらず、消費税増税などによる庶民増税や年金、医療、介護などの社会保険料の連続引上げで、可処分所得はリーマンショック前の2008年と比べ5%近く低下しています。今春闘では、アベノミクスの継続を直ちにやめさせ、内部留保の還元を含めた富の再配分機能を強化して格差と貧困をなくし、すべての労働者の賃金改善と良質な雇用の確保で、国民本位の景気回復を図ることが求められています。全日赤は全労連や医労連に結集し国民とともにたたかいます。
次に、医療や福祉で働く労働者が世間並みの賃上げをおこなえば施設が成り立たなくなる現状を世間に訴え、政府の政策を軍事拡大ではなく社会保障充実へと転換させます。安倍政権のもとで、毎年、軍事予算が拡大しており、2017年度概算要求では過去最高の5兆1685億円となっています。その一方で、社会保障費は、通常1兆円から8000億円ある自然増を5000億円まで抑え込む方針です。
そして医療や介護を企業の儲けのために市場開放するため、TPPを含め規制緩和を推し進めるとともに、地域医療計画の名の下にベッド削減を推し進めています。こうした実態を知らせながら、患者・施設利用者を含め広く国民と連帯し政治を変えていきます。
そうした中で日赤本社に対しては人事院勧告打破の方針をより一層押し出し、真に世間並みの賃上げを自主的におこなうよう追及し春期決着を目指します。
展望はありますか?
昨年末での一時金闘争では、今までの本社通知による本社統制が緩むなかで、一時金のバラツキが目立ち、昨年並みを下回る単組が増加しましたが、そんな中でもストライキや越年準備などたたかう姿勢を固めながら粘り強く交渉し、削減回答を一定押し戻し、要求前進を勝ち取った経験が報告されています。
たたかえば必ず要求は前進します。たたかうためには日頃の鍛錬が必要であり、労働組合で言うと日常活動や教育宣伝活動を通じて組合員の団結を固めることです。また同時に理論武装も必要です。法律的な知識や情勢および労働組合についての学習をしておけば交渉も有利に進められます。いざストライキでたたかおうとみんなが決意してもストライキのやり方が分からなければたたかえません。
そうした労働組合の原点に立ち返った学習と徹底した職場討議を重視した春闘を展開し、たたかう労働組合の体力をつければ展望は開けます。
どうやって団結を強めますか?
労働組合は、要求で団結する組織です。要求討議を徹底しておこないます。まず組合員の要求を聞き取り、その要求が組合全体の要求となるか討議するとともに、どうすれば要求実現ができるかたたかい方を含めて意思統一を固めます。
賃上げ要求額については、「生計費原則」に則った議論を進めながら、2016年要求アンケートの集約結果と日本医労連の賃上げ要求(4万円要求)を参考にしながら賃金専門委員会の議論を経て中央委員会で提案します。経営者によっては「4万円賃上げなんて常識がない」などと非難する言い方をする人もいますが、組合の弱体化を狙ったものであれば不当労働行為にあたります。毅然として反論する必要がありますが、要求の根拠をしつかりと議論しておけば団結を崩されることはありません。
政治的課題は馴染まないと思いますが?
そんなことは決してありません。生活や働き方は政治と切り離せないものです。消費税増税で生活が苦しいのも政治に関係することですし、消費税を無くしてほしいと要求することは政治的課題です。たしかに使用者に政治的課題を要求しても解決できませんが、「一緒に声を上げてほしい」との要求に対しては回答できます。そもそも労働基準法では1日8時間労働が原則です。しかし医療現場では2交替制による長時間夜勤や長日勤など長時間勤務が横行しています。これも変形労働時間制の導入など労基法の改悪があったからです。夜勤改善・大幅増員の署名を集めて国会に提出し夜勤労働の規制を政治に求めます。安保法制に関しても「安保法制は必要である」との意見があることは承知しており、徹底した議論が必要です。これを政治的課題だからと避けてはとおれませんし、「共謀罪」の提案など言論統制にもつながりかねない情勢や団結が壊される事態が生じているなかで積極的に議論し、安保法制(戦争法)やテロ等準備罪(共謀罪)の真意を突き止め団結を固める必要があります。
職場は忙しすぎて集まれません
あきらめたら終わりです。その忙しい状況を改善するためにも労働組合として要求し改善を勝ち取る必要があります。組合役員は相違工夫をこらし話し合いの場(カレーの集い・給与明細の見方勉強会など)を設けます。組合員1人ひとりも少し努力し、話し合いに参加し自分の意見や要求を語りあいます。忙しすぎて情報が途絶えると賃金や労働条件での間違いがあっても気づかなくなります。サービス・不払い残業一掃の取り組みとともに俸給の格付け違いや手当支給の間違いなどがないかどうか点検を強めます。労働基準法や賃金協定というルールに従って支払うべき賃金はきっちりと支払わせます。また嘱託・臨時・パート職員の賃金労働条件改善にも取り組みます。
組合を大きくするための取り組みは?
要求を実現させるために、組合が大きく強くなる必要があります。そのことを全単組・全組合員が認識し組織拡大の取り組みに参加するようにします。秋の「わくわくの日」を皮切りに、組織拡大が漸進しています。春闘では3月16日を春の「わくわくの日」と位置づけ全国一斉に組織拡大に取り組みます。また新採用者への働きかけも早い時期から準備をすすめ、100%加入をめざし奮闘します。7月の定期大会までに第6次3ヵ年計画の初年度目標(6800名復活)をやりとげます。 |