■２０１６年度賃金交渉　３年連続賃上げ回答、扶養手当の改悪持ちこませず

　２０１６年度賃金交渉で９月１日の団体交渉において、本社は本俸１千１６円（０・２８％）の賃上げと医師確保手当引き上げの回答をおこないました。

賃上げ回答、されど要求届かず

　２０１６年度賃金交渉は、５月１６日の賃金専門委員会による労使協議会での追及に続き、６月１日に夏期一時金交渉と併せて賃上げ要求について交渉をおこないましたが回答は得られず、全日赤は職場からの一言メッセージの取り組みを展開し施設内世論を盛り上げながら本社追及を強めました。
　本社が「お手本」としている人事院勧告が出された後の９月１日に開催した団体交渉において、本社は、（１）本俸を平均１千１６円（０・２８％）の引き上げる、（２）医師確保手当の定額部分の支給限度を４１万３千８００円とする、（３）実施時期は、１６年４月１日とする回答をおこないました。
　俸給表の改定は、全ての俸給表の級・号俸において俸給額を引き上げるもので、平均０・２％の改定となりますが、若年層が１千５００円程度、中高年層は４００円程度と若年層に手厚くなっています。日赤職員６万３千６０５人に当てはめた平均改定額と改定率は昨年を下回る回答であるとともに全日赤の賃上げ要求「本俸一律２万７千円の賃上げと体系是正を合わせて４万円以上引き上げること」から見れば、不十分な回答と言わざるをえません。諸手当の改定では、医師確保手当の定額部分の支給限度を現行より５００円引き上げるものです。また、人事院が勧告した扶養手当について、本社は「人勧は言及しているが、慎重に検討しているため、今回の回答には入れなかった」と答えました。

重点要求の前進を

　その他の全日赤の要求には答えておらず交渉では、特に今年度は保育士の処遇改善が世間でも注目されているなかで、福祉職俸給表をはじめとする昇格基準の改善や夜勤手当を含む夜勤改善、嘱託・臨時・パートの処遇改善などを追及しました。しかし前進回答は得られず全日赤は、「自らの健康を削りながら職場を支えている職員を見て改善すべき」と主張し、次回団交（９月１５日）までに賃上げ額や賃金改善について再考するよう求めました。

育休復帰一時金の廃止提案

　９月１日の団交で、本社は全社的福利厚生事業の見直しについても提案しました。税務署が「育児休業復帰一時金（育児休業から復帰し６ヵ月経過した時点で１０万円を支給）」は復帰を条件とした給与所得であり課税対象であると判断したことを受けて、本社は「全社的福利厚生事業は非課税範囲でおこなう」方針のもと平成２９年（来年）３月３１日をもって「育児休業復職一時金」を廃止し、併せて平成２９年４月１日より慶弔見舞金の「出産祝金」の支給額を２万円増額し５万円にするとの提案内容です。
　全日赤は、「現在、育児休業中の職員などに対する経過措置を考える必要がある」と意見を述べるとともに持ち帰り検討することにしました。

経過措置と育介法改正

　９月１６日の本社団交で、本社は「検討したが前回回答に変わりない。しかし全社的福利厚生事業の経過措置を求める要望があったので検討をおこなった」と、回答。その回答内容は「全社的福利厚生事業の見直しにおける経過措置として育児休業復帰一時金は平成２９年３月３１日に出生している子を養育する職員まで対象とする。ただし経過措置中の４月１日以降の育児休業復帰一時金には公租公課の徴収をおこなう」でした。全日赤は、育児支援の観点からも課税されても引き続き支給してほしい要望が強いことを伝えながら出産祝金の増額は歓迎するとしました。
　また、本社は２０１７年１月１日施行される育児介護休業法の改正にともなう日赤規程の改正の提案をおこないました。
　全日赤は、３年連続のベアであること、扶養手当の改悪を持ち込ませなかったことを評価し賃金闘争として区切りをつけるため「賃金回答と福利厚生の経過措置の提案は、妥結する方向で１０月の単組代表者会議で意見を聞く」と、態度表明しました。最後に、全国から集まった「一言メッセージ」を秋年末闘争につなげるため本社人事部長に手渡し、よく読むよう要請ました。