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機関紙「日赤労働者」

’16春闘 書記長に一問一答
政治を変えて賃上げ・夜勤改善を実現する春闘に

 春闘の要求とたたかい方を決定するために、全日赤2015年度第1回中央委員会が2月6日(土)から7日(日)にかけて開催されます。昨年末にストを背景にして要求を前進させたたたかいを教訓としながら、2016年春闘のたたかい方を決定します。今春闘のたたかい方について書記長に聞きました。

 春闘情勢はどうなっていますか?

 連合は、「デフレからの脱却のためにもベア2%以上(定期昇給部分を含めて4%以上)を求める」としていますし、日銀総裁も「物価の上昇に見合った賃金の上昇は日本経済の持続的な成長に不可欠」と賃上げが必要であるとの見解を示しています。また3年連続でのベースアップとなる見込みとの報道もされています。これに対し経団連会長は、昨年の「ベアも一つの選択肢」ではなくボーナスや手当を含めた年収ベースで、去年を上回る水準の賃上げを呼びかけたいという考えを示しています。また消費税増税の影響により施設経営を圧迫し、診療報酬の改悪と相まって赤字となっており厳しい状況にあります。

 春闘をどうたたかいますか?

 賃金交渉において、日赤本社は「世間並み」を主張しますので、まず世間の賃上げ情勢を押し上げます。アベノミクスのこの3年間、労働者の実質賃金は上がらず、消費税増税などによる庶民増税や年金、医療、介護などの社会保険料の連続引上げで、可処分所得はリーマンショック前の2008年と比べ5%近く低下しています。こうした世間の「賃上げ必要」の世論をつくりあげ、大企業の内部留保をはき出させ賃上げをさせることをめざし、最低賃金の引き上げなど全労連や医労連の運動に取り組みます。
 次に、医療や福祉で働く労働者が世間並みの賃上げをおこなえば施設が成り立たなくなる現状を世間に訴え、政府の政策を軍拡ではなく社会保障充実へと転換させます。安倍政権のもとで、毎年、軍事予算が拡大しており、2016年度概算要求では、5兆911億円と過去最大規模となっています。その一方で、社会保障費は、通常1兆円から8千億円ある自然増を、「骨太方針」にそって5千億円まで抑え込む方針です。そして医療や介護を企業の儲けのために市場開放するため、TPPを含め規制緩和を推し進めています。こうした実態を知らせながら、患者・施設利用者を含め広く国民と連帯し政治を変えていきます。

 展望はありますか?

 昨年末での一時金闘争では、全国平均を下回る単組が増加しましたが、そんな中でもストライキや越年準備、労働委員会の検討などたたかう姿勢を固めながら粘り強く交渉し、削減回答を一定押し戻し、要求前進を勝ち取った経験が報告されています。たたかえば必ず要求は前進します。たたかうためには日頃の鍛錬が必要であり、労働組合で言うと日常活動や教宣活動を通じて組合員の団結を固めることです。また同時に理論武装も必要です。法律的な知識や情勢および労働組合についての学習をしておけば交渉も有利に進められます。いざストライキでたたかおうとみんなが決意してもストライキのやり方が分からなければたたかえません。そうした労働組合の原点に立ち返った学習と徹底した職場討議を重視した春闘を展開し、たたかう労働組合の体力をつければ展望は開けます。

 どうやって団結を強めますか?

 労働組合は、要求で団結する組織です。要求討議を徹底しておこないます。まず組合員の要求を聞き取り、その要求が組合全体の要求となるか討議するとともに、どうすれば要求実現ができるかたたかい方を含めて意思統一を固めます。賃上げ要求額については、2015年度要求アンケートの集約結果と日本医労連の賃上げ要求(4万円要求)を参考にしながら賃金専門委員会の議論を経て中央委員会で提案します。経営者によっては「4万円賃上げなんて常識がない」などと避難する言い方をする人もいますが、組合の弱体化を狙ったものであれば不当労働行為にあたります。毅然として反論する必要がありますが、要求の根拠をしっかりと議論しておけば団結を崩されることはありません。

 政治的課題は馴染まないと思いますが?

 そんなことは決してありません。生活や働き方は政治と切り離せないものです。消費税増税で生活が苦しむのも政治に関係することですし、消費税を無くしてほしいと要求することは政治的課題です。たしかに使用者に政治的課題を要求しても解決できませんが、「一緒に声を上げてほしい」との要求に対しては回答できます。そもそも労働基準法では1日8時間労働が原則です。しかし医療現場では2交替制による長時間夜勤や長日勤など長時間勤務が横行しています。これも変形労働時間制の導入など労基法の改悪があったからです。夜勤改善・大幅増員の署名を集めて国会に提出し夜勤労働の規制を政府に求めます。安保法制(戦争法)に関しても「安保法制は必要である」との意見があることは承知しており、徹底した議論が必要です。これを政治的課題だからと避けてはとおれませんし、今の言論統制にもつながりかねない情勢や団結が壊される事態が生じているなかで積極的に議論し、安保法制(戦争法)の真意を突き止め団結を固める必要があります。

 職場は忙しすぎて集まれません

 あきらめたら終わりです。その忙しい状況を改善するためにも労働組合として要求し改善を勝ち取る必要があります。組合役員は創意工夫をこらして話し合いの場(カレーの集い・給与明細の見方勉強会など)を設けます。組合員1人ひとりが少し努力し、話し合いに参加し自分の意見や要求を語りあいます。忙しすぎて情報が途絶えると賃金や労働条件での間違いがあっても気づかなくなります。サービス・不払い残業一掃の取り組みと共に俸給の格付け違いや手当支給の間違いなどがないかどうか点検を強めます。労働基準法や賃金協定というルールに従って支払うべき賃金はきっちりと支払わせます。また嘱託・臨時・パート職員の賃金労働条件改善にも取り組みます。

 組合を大きくするための取り組みは?

 要求を実現させるために、組合が大きく強くなる必要があります。そのことを全単組・全組合員が認識し組織拡大の取り組みに参加するようにします。秋の「わくわくの日」を皮切りに、組織拡大が漸進しています。春闘では3月17日(木)を春の「わくわくの日」と位置づけ全国一斉に組織拡大に取り組みます。また新採用者への働きかけも早い時期から準備をすすめ、100%加入をめざし奮闘します。7月の定期大会までに第5次3ヵ年計画の当面目標(7千名復活)をやりどけて、あらたに第6次組織拡大3ヵ年計画の策定も議論します。

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