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機関紙「日赤労働者」

働き続けられる職場めざして
大幅増員と夜勤改善は今がチャンス

 看護職が働き続けられる勤務環境の改善を図らなければ医療提供体制を維持することができないとの認識のもとに、厚生労働省から2011年6月に「5局長通知」、2013年2月「6局長通知」が出されました。2013年2月、日本看護協会が「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を出し、日赤本社も2013年8月に「日本赤十字社看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を出しました。24時間のうち16時間働くのは異常だとの世論ができつつあり、夜勤改善は今がチャンスです。夜勤改善のたたかいの歴史を振り返りながら、目指すべき看護の実現に向け、私たちの運動の展望を開きます。

不満を要求に、職場を改善
全日赤前中央執行委員長 太田千枝子さん

 私が入職した1968年は、二・八(ニッパチ・複数月8日以内夜勤)闘争のまっただ中。初任給は2万8000円で、賃上げも4月でなく秋におこなわれていました。
 「労働条件の改善が患者によい看護につながる」と確信したのは、“日頃できない看護をする日”のストライキ。スト参加者は全員保安要員として病棟に入り、休みの組合員も参加し日頃の人員配置を上回る体制で看護をおこないました。日頃したくてもできなかった清拭や足浴、散歩などをおこない患者からも喜ばれ、世論やマスコミも支持をよせました。
 38歳で婦人科外来から配属された脳外科病棟は、久しぶりの夜勤や慣れない業務で苦労しました。そこで組合の原点である不満を話し合うことを学びました。
 組合員の思いをビラに書いてまき、脳外科部長の医師や病棟師長にも増員要求の支持を要請し、団体交渉では職場の仲間が職場の状況を泣きなから訴え1名の増員を勝ち取りました。そして配属された1名を職場のスタッフみんな拍手で迎えました。
 また、単組の執行委員長となり良かったことは、院長や看護部長と対等に話し合えたこと。みんなで話し合い気持ちを一つに看護師全体が立ち上がったことが力となりました。

夜勤労働の問題点

 「夜勤日数を月8日以内に規制する」国の基本方針がありますが、依然として看護職員確保法・基本指針に抵触する月9日以上の夜勤をおこなう看護師が全体の3割強(32・9%)、10日以上が1割強(11・2%)いるのが現状です。2013年夜勤実態調査では平均夜勤日数は、3交代で7・45日、2交代で4回でした。
 夜間労働(夜勤)は「働く者の身体にとって有害」として、諸外国ではILO夜業条約やEU労働時間指令などに基づいた規制がおこなわれ、労働者の健康と生活を保護しています。
 安全リスクとして、夜間は作業効率が下がり、酒気帯び状態と同じであるとオーストラリアのドーソン教授が1997年に発表しました。また、健康リスクとして、睡眠障害や循環器系障害のほか、人工照明を夜間浴びることで乳がんや前立腺がんの指摘もされています。IARC(国際がん研究機関)が、発がん性の要因の5分類うち、夜勤・交代制勤務は2007年10月に上から2番目の「発がん性がおそらくある(GROUP2A)」に分類されました。16時間夜勤は日本だけで、世界からみると非常識な長時間勤務となっています。

信頼される看護を
全日赤看護対策委員長(大津単組) 中小路貴子さん

 看護師になるきっかけかけは、人それぞれですが、看護は人の役に立つ仕事。「患者さんの力になりたい。患者の要望に応えたい」や「資格のある仕事」という人もいるかもしれません。若い看護師が患者の要望に応える時「細々とした要求に応えるのが煩わしい」というのを聞いてびっくりしました。DMATや救急医療などに憧れ、看護師の仕事の始まりを見失っているのではないかと感じます。
 患者の取り巻く要求に、一番近くにいる看護師が応えてきました。患者との関わりの中で看護師も成長し、患者からの信頼を得て、それこそが看護の喜びにつながります。重症患者やベッド稼働率など数字に振り回されていますが、この間の経験を積んで、ナイチンゲールやヘンダーソンの看護理論が心に響きます。
 身近な人が入院して分かることもあります。患者の疾患をみるのではなく、人生の一場面で病気になる、その患者の持つ力を大切にしながら看護を展開する、実に看護は奥深いもの。看護師は患者の療養上の世話をつかんで離してはいけないと強く感じます。
 職場では、若い看護師が良いところが認められずマイナス評価され、足りない部分もフォローされず、職場を去るケースがあります。職場全体で成長できるようにしていかなくてはなりません。仕事が遅いのは自分のせいでない、人が足りないから。1人でも多く立ち上がれる看護師を増やしていく必要があります。
 夜勤改善は看護の改善につながります。自分の言葉で看護を語る、患者に信頼される看護・医療を自分の中に持っていることが大事。いろんな世代の看護師が患者を看ること、看護師が働き続けられる職場であることは、病院が発展し、看護も発展します。患者の要望に応えるためにも増員しかないと思います。

請願署名の力、法改正を
日本医労連中央執行委員長 山田真巳子さん

 署名は国民の請願権。その昔、お上に対し命がけでしか訴えができませんでしたが、今は権利としてあります。
 選挙で国会議員を選ぶことの次に、国民の要求をかなえることができるのが請願署名。請願署名を賛同してくれる議員が紹介議員となり、たくさんの紹介議員が集まると審議され、それだけ力があると感じています。
 日本医労連の署名は、他にはない魅力があります。私たちの仕事は人のいのちに関わる医療・福祉の現場。多くを語らなくても署名の内容を理解してもらえるし、署名行動をした参加者が元気になります。「安全で安心できる医療・看護を」と、社会問題として取り上げられると世論がつくられます。
 先日、入谷での宣伝活動で、ある青年が「看護師さんは大変。メラトニンが抑えられてがんになるんですよね」と署名してくれました。夜勤の報道を見たとのこと。この間、書籍や新聞、テレビで取り上げられ注目されてきたと感じています。
 医労連は5局長通知が出るときも厚労省から相談を受けました。これは、看護師の声を多くもっていると認識されているからです。看護師は職場にいると「こんなものだ」と思ってしまうが、世界では日本の看護師の働き方は異常です。日本医労連は、3月、5月と海外視察し、ILOでも日本の現状を訴える予定。大きな視点を持って、職場の改善をしていきます。もう一歩踏み出す運動を起こし、看護師確保法の法改正をおこないたいです。

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