■2013春闘
世間は賃上げ情勢
本社に届け職場実態
今春闘では、政府が賃上げを企業に要請していることや、それに応える企業がでている情勢を生かしながら、過酷な夜勤実態など職場の声をもとに、賃上げ回答をおこなうよう本社を追及した結果、今後の賃上げ交渉での足がかりとなる本社姿勢を示させることができました。
抗議のストライキ
全日赤は、2万8000円以上の引き上げ要求をはじめとする全日赤2013年春闘統一要求を2月28日に提出し、回答指定日前日の3月12日の団交を皮切りに賃上げ回答を求めて本社追及を行ってきました。回答指定日にベースアップ回答を引き出すには至らず、3月14日の産別統一行動日には、本社の賃上げするとも回答しない姿勢に抗議し、全日赤第1次全国統一行動として1時間ストライキを決行しました。
“賃上げするなら今でしょ”
今春闘の特徴は、景気回復のために政府が賃上げを企業に要請していること、それに応える企業がでているという情勢にあり、全日赤も「賃上げを回答するなら今でしょう」と、世間並みを強調する本社に対して「政府の要請に応えて、せめて賃上げの姿勢を示すべきである」との追及を強めてきました。
「職場の声」提出
また、昨年秋から日本医労連を中心に「夜勤改善と大幅増員」を求める運動を進めるなかで、年末交渉において本社も「看護師確保の努力はしている。賃金改善に関する要求も踏まえて具体的な協議を行いたい」と約束しており、全日赤は職場実態に目を向けて賃上げ及び賃金改善を行うよう「一言メッセージ」に取り組むとともに、全日赤第2次全国統一行動日の4月11日には地方協代表による本社要請行動を行い、職場の生の声として追及するとともに、全国から集めた約300人分の職場の声を本社に提出しました。
賃上げ、定昇を上回る情勢
4月24日には、全日赤第3次全国統一行動として1時間ストライキを構えながら「人材確保のためには賃上げが必要である」と、施設から本社に上申させることにも取り組みながら、4月23日に本社との団体交渉を行いました。
賃上げ要求について、全日赤は「医労連集計(4月17日)では、41組織でベースアップ回答を引き出しており、平均額は789円(前回集計よりも112円増、昨年より236円増)で、最高は3323円のベア回答となっている。また国民春闘共闘の第4回(4月12日)集計によると、賃上げの単純平均は、5474円・1・92%で、加重平均は、6034円・2・06%となっており、昨年実績を上回っているなど世間の動向は賃上げ傾向にある」との追及を行いました。
これに対して本社は、賃上げの要求をしていない連合や経団連の状況を持ち出してきましたが、経団連の集計(4月5日)では、6203円と日赤の定期昇給(平成23年度推計)の平均5646円を上回っており、本社が言う「世間並」から見ても日赤賃金の引き上げは必要です。
人材確保のため賃上げ必要
また4月11日の地方協代表による本社要請行動において提出した職場の切実な声に応えるべきであり、「人員確保の観点からも賃上げは必要である」と追及し、春期に自主回答自主決着を行うよう強く求めました。しかし本社は、「日赤職員の生活を守るため世間並みを確保する」としながらも「春闘状況を見極め判断したい」との姿勢を繰り返すのみで、賃上げ回答を引き出すには至りませんでした。
前向き姿勢引き出す
そこで全日赤は「人材確保のためにも賃上げは必要であることや春闘状況が例年とは違うという認識は共有できるか」と詰め寄り、「全日赤の分析を否定するものではない」と本社の考え方を示させました。また「賃上げは人員確保の大きな要因のひとつである」との見解も引き出し、「世間ばかりに目をむけるのではなく現場実態に即した回答を行え」との追及により、「現場実態をふまえて賃金を検討する」と回答。「夜勤に関する手当改善」は、医労連のなかでも前進回答を引き出している事例を用いながら追及した結果、本社は「賃専など別の場で協議を行いたい」と回答。
継続課題は引き続き協議
団体交渉では、賃金改善の課題として、(1)経験年数の判断基準に関する要求に応えること(2)昇格基準の改善、特に福祉職、医療職(三)の改善を行うこと(3)夜勤に関する手当改善を行うこと(4)特殊勤務手当の改善、特に血液を扱う業務、放射線作業、抗がん剤のミキシングについて前進回答を行うこと(5)住宅手当の世帯主条項の廃止(6)待機手当の新設(7)ガソリン代値上げに伴う通勤手当の改善(8)寒冷地手当の改善などを追及し、嘱託・臨時・パート職員の処遇改善やパワハラ対策についても引き続き協議するに止まりました。
日赤年金基金は大丈夫
4月13日の新聞報道「基金制度を見直す法案が提出され、財政悪化(代行割れや代行部分の1・5倍ない基金)なら解散させる」について、日赤厚生年金基金は大丈夫と質問したことに対して、本社からは「日赤基金の運営状況は代行部分の支給に必要な額の1・7倍の資産を有しており、新聞報道にもある『存続は1割程度』の枠に入っている」との答えを得ました。
スト延期、夏期闘争で追及
全日赤は春闘での決着を目指し、4月11日の地方協代表者による本社要請での追及や職場からの寄せ書きを活用しながら団体交渉での追及を強めた結果として、本社に「前向きな姿勢」を表明させ、夜勤に関する手当改善についても具体的な協議を約束させることができました。中央闘争委員会は、団体交渉の内容を評価しストライキ延期を決定し、引き続き本社の人勧準拠方針を打ち破り賃上げ回答を行うよう夏期闘争で追及していくこととしました。
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