■2012年春闘要求アンケート 大幅賃上げ・労働条件改善で、働き続けられる職場へ 増員要求がトップ 次いで賃上げ休みたい続く
2012年春闘での要求アンケートは、25施設1867名分(2月5日現在)を集約しました。「職場の不満」では、増員を望む声が昨年よりさらに増加しトップとなっています。賃上げ要求額は、今年もアンケートの平均から2万8000円となりました。
「人員が少ない」が増加
職場の不満に関する設問では、「人員が少ない」が2年連続して増加(昨年2・1ポイント、今年1・2ポイント増)し、「賃金が安い」を0・3ポイント上回って不満のトップ(15・7%)となりました。
「賃金が安い」は15・4%と昨年と変わらず、昨年2番目に多かった「一時金が少ない」は2・3ポイント下がり4番目となりました。
変わって「休みが取れない」が増加し3番目となりました。職場の人手不足とそれによる休日が取れない不満が浮き彫りになっています。
年齢層高いほど「苦しい」生活
生活実態では、「かなり苦しい」と「やや苦しい」を合わせた「苦しい」と答えた人が、昨年、過半数を割り42・5%でしたが、今年は「やや苦しい」が増加し、「苦しい」の割合は43・8%となりました。しかし年齢別で見ると40歳代以上では「苦しい」が過半数を超え、年代が高くなるほど「かなり苦しい」が多くなっている状況には変わりがありません。
収入減が半数割る
収入と家計の設問では、「貯蓄の取り崩し」と「節約」を合わせて「収入減」と回答した人が、昨年より10・6ポイント減少し、今年47・2%と過半数を下回りました。しかし、年代別では、40歳代以上では「収入減」を訴えている人が過半数を超えており、年代が高くなるほど「貯蓄の取り崩し」が多くなっています。
生活苦しくて賃上げを要求
「収入と家計」については、昨年と比べると若干緩和されていますが、「賃金の不足感」では昨年よりも543円増加しており、出費が増えるなど生活を圧迫していることがうかがえます。そして賃上げ要求額も昨年より437円増加し、平均で2万7694円となりました。昨年と変わらない結果となりました。要求額の平均は、2006年まで減少傾向にありましたが、2007年春闘以降は増加傾向に転じ(昨年は低下)今年はまた増加に転じていますが、要求額は切り上げて昨年と同じ2万8000円としました。
年代別には、20歳代の平均要求額が一番高く、次いで50歳代、30歳代、40歳代の順となっています。
「疲れてる」は増加傾向
身体の疲れに関しては、昨年同様「とても疲れてる」「やや疲れてる」を合わせて約95%が「疲れている」と答えていますが、一昨年94・9%、昨年95・2%、今年95・4%と徐々に増加しています。そのなかでも今年も「とても疲れている」が半数を超えており、看護師では約6割になっています。また年代別では「とても疲れている」が一番多いのは、20歳代となっています。この結果は体力的なものだけでなく精神的な疲れも多いものと想像できます。
残業は減少するも、若年層でサービス残業増
残業時間は、「ほとんどない」が2・8ポイント、「10時間未満」が1・7ポイント、「10から20時間」が3・8ポイント減少しているものの、一方で50時間以上の長時間の残業が若干増加しており、残業時間の平均は昨年より約10分短くなり、14時間8分となりました。
平均時間で多い順は昨年の「事務職」を抜いて「看護職」が一番多く、次いで「医療技術者」となっており、年代別では若年層ほど時間外が多く、年齢層が上がるほど減っています。回答者数が少ないものの、10歳代で平均75時間もの時間外となっているのは気を付けなければなりません。
また、サービス残業も若年層が多く「20歳代」では平均約8時間30分ものサービス残業があり、1人分の賃金をサービスしている結果となっています。職種別では「看護職」が一番多く、平均6時間53分のサービス残業があり、全体の平均は、昨年より約14分多く5時間43分のサービス残業となっています
時間外手当を請求しづらい
「時間外手当を請求しできなかったことがあるか」の質問に対して、「よくある」「たまにある」を合わせて約7割が「できなかったことがある」と答えています。その理由で一番多いのは、昨年より3・4ポイント減少したものの37・8ポイントが「自分の能力の問題」で、次いで「周りがみんなしていない」と回答していて、その傾向に変わりはありません。
その他の回答で目立つのが「短時間なので請求しない」があり、請求運動を引き続き強める必要があります。時間外手当を払わすことで増員の必要性が経営者にも伝わるのです。
要求運動が医療の安全守る道 確信もって世論に訴えよう!
年休取得日数低下
年休の取得日数は昨年より0・8ポイント低下し平均7・4日となり、残日数は30日を超えました。
年休を請求したことがあるかの質問に対して、「まったくない」と答えたのが、昨年より4・7ポイント減少し、「よくある」「たまにある」がともに増加しており、年休を請求することが増えていると言えます。しかし、請求した年休の半数近くが業務や公休などに代えられ、年休の取得率を下げているものと思われます。
原発「なくす」7割
今年の設問で原発問題を聞きましたが、「徐々になくす」が一番多く約4割、「早くなくす」が約3割で合計した「なくす」は7割になります。一方で「維持」「増設」と答えた人が合わせて約1割あるのと、「無回答」が約2割となっています。
誰もがパワハラ
全日赤独自アンケートでパワハラチェックを行いましたが、パワハラ被害では約3割、パワハラ加害では約4割が何らかの行為に経験を持っていることが明らかになりました。参考にしたチェックシートでは、一つでも該当すれば注意が必要と書かれてあり、パワハラ対策は今後の重要課題であると言えます。
3年連続賃下げ
2006年の給与構造改革以降、現給保障の者には定期昇給もなく賃金が上がらない状態が続き、また3年連続の賃下げなど賃上げに対する要求の声が高まっていることがアンケート結果でも表れています。また休みが取りにくい現状も数字として表れており、職場の増員が切実なものとなっています。
いま私たちの運動により厚生労働省の5局長が連名で通知を出すなど、看護師の労働条件改善を求める動きが強まっています。引き続き看護師等の医療労働者の賃上げを含む労働条件改善が医療の安全を確保することに確信を持ち世論に訴えながら、増員による働き続けられる職場作りを追及しましょう。本社に対しても世間ばかり見るのではなく医療・福祉の現場を見て賃上げを含む賃金改善を行うよう追及しましょう。 |