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機関紙「日赤労働者」

新春インタビュー 正職員への道も開けた 雇い止めをハネ返して 長野血単組

 全国のみなさん、明けましておめでとうございます。2012年の年頭にあたり、昨年のたたかいのなかで輝いている単組の一つである長野県赤十字血液センター労働組合のみなさんにお集まり頂き、苦労話や新しい年への抱負を話し合ってもらいました。(インタビュアー=全日赤中央執行委員・矢口保子さん)

 矢口 最初に、ご参加いただいているみなさんに、自己紹介をお願いいたします。
 鷹見 執行委員長を務めています鷹見といいます。よろしくお願いします。
 木我 副執行委員長をやっております、長野の業務課の木我と申します。よろしくお願いします。
 阿部 書記長をやっています阿部といいます。よろしくお願いします。

結成前の職場の実態は

 矢口 それでは組合員の皆さんは全員が嘱託・臨時職員ですが、働き続けられることへの不安等をかかえての職場だったと思いますが、労働組合を結成する前の職場の状況はどんなだったでしょうか。
 鷹見 労働組合を結成する前というのは、血液センター側の条件提示を言われるままで仕事をしてきました。そのなかで同じ仲間が、3月31日をもって雇い止めということで有無を言わさず辞めていく姿をみた。自分たちもそういう状況のなかで仕事をしていくのはモチベーションも下がりいい仕事ができない。また同じような仲間たちが雇い止めされていく、順番に辞めていくことが堪えられない、そんな状況だったと思います。
 矢口 木我さん、阿部さんはいかがですか。
 木我 雇い止めで実際にクビになった人にはとても気の毒だったのですけれども、これをきっかけに組合ができて、私は非常によかったなと思います。
 阿部 私もこの赤十字という看板を背負っていることろへ勤めて、まさかクビにしてくるとはとても思っていなかったので、そういう事例が私のすぐそばであったことに驚いたのと、正直に経営者側の対応というものに失望しましたね。
 それが、今のたたかいにつながっているので、これからも頑張っていきたいなと思っています。
 矢口 労働者が労働者としてまったく保障されていない現実を目の当たりにして、そのことが組合をつくるきっかけになったというお話だったかと思います。

労組結成のきっかけは

 矢口 今のお話とも重複する部分もあるのですけれども、労働組合をつくろうとしたきっかけを教えていただきたいのですが。
 鷹見 きっかけは、先ほど話があったように、同じ仲間が雇い止めをされるということで、次は誰なんだと、本当にそれでいいのかと、当初3名ほどで弁護士さんに相談に行って、弁護士さんから長野県医労連を紹介されました。その中で全日赤を紹介していただいて、全日赤に入り、たたかっていく体制になりました。
 弁護士さんに相談してから結成大会まで約2カ月くらいですね。
 木我 その2カ月は、みなさん、落胆の連続だったよね。本当に。
 鷹見 これからどうやって食べていきましょうという。
 木我 という話だよね。非常に切羽詰まった。仕事をやっていても、どうも気の抜けたような。
 阿部 どうせクビになるんだったら、なんでこんなに一生懸命やんなきゃなんないんだというように、なっちゃいますよね。
 矢口 そうですよね。ところで支援した団体と言えば…。
 鷹見 そうですね。長野県医労連、あと長野労連、全日赤。
 矢口 やっぱり大きな力になりましたよね。
 鷹見 それがなければ、全然だめでしたね。

組合結成で気持ち一つ

 矢口 次ですが、一昨年の2010年5月12日が結成大会ですが、結成大会のときの感想を、それぞれお聞かせください。
 鷹見 この組合をつくることで、みんなが一つにまとまってセンター側と交渉していく一つの力になるのかなと思ったここと、それから本当に組合として勝ち取っていけるのかなという不安も正直ありました。
 木我 組合をつくったのはいいけれども、初めてで、どういった交渉とか、どんなふうに勝ち取っていくのか、まったくわからない状態でした。
 ただ、団結だけはできましたけれども、どういった交渉術がよいのか何せわかならないもので、上部団体に助けてもらって、指導されながらなんとか今日までこれました。
 阿部 やっぱり木我さんが言われたように、とにかく右も左もわからなくて組合を結成しました。じゃあこれからどうしようというところで、すごい不安であったのと、みんなの気持ちが一つになって同じ方向を向いていたので、これから一生懸命やらなければいけないという気持ちで結成をむかえました。

要求実現をめざして

 矢口 組合結成のあとなんですが、雇い止めの撤回を中心としながら身分の改善や賃金・一時金の改善をはじめとする要求を実現するために施設と交渉を重ねてきたと思いますけれでも、最初はどんな思いで交渉に臨まれましたか。
 鷹見 本当に雇い止めを撤回できるのかという不安がやはりすごい大きかったです。ただ、交渉を重ねていくうちに、いろいろな上部団体の方の協力も得たりして、交渉の仕方ですとか、ある程度のものがわかってくるなかで、一つひとつわずかでも改善していくことができたので、よかったと今は思います。最初は本当に交渉の仕方もわかりませんから不安でした。
 阿部 とにかく交渉を重ねていくに連れて、施設側が何を本当に考えているのかというのがぜんぜんみえなくなっちゃって、こちら側の問いかけに対しても何も返ってこない。非常に苦しい思いをしました。最初はそんな感じでした。
 木我 交渉も、やり方自体もよくわからなかったですし、いま阿部さんが言ったように、打っても響かないというというのか、人をバカにしたという態度で、もうずっとはじめはそうでしたね。
 この雇い止めに関しても、私どもにしてみれば寝耳に水で、今まで思いもしなかったですから、本当にそのときびっくりしましたし、本当に腹立たしい思いで、いつも交渉をやっていました。でもなかなか結果が出なかったものですから、撤回になるまでには非常に不安な気持ちがずっとありました。いつ終わるのかなと。
 実際の話、仕事がないとお金をもらえないし、もし、クビになったら明日からの生活をどうしようかなと、家中みんなで路頭に迷うのではないかと、不安な気持ちを毎日もっていました。
 矢口 そうですね。管理者をそこに正座させておいて、この不安をどうしてくれるんだと言いたい感じでしたね。でも、組合の役割として、経営者にも労働者の権利や、そういったものをきちんと応えていく必要があるというのを教育していく場でもあるので、今までちゃんとした組合がなかったところは、そういう役割も組合が担っている。そういう意味では組合のみなさん、経営者のみなさんにとっても非常によかったかなと思いますね。

一時金算定基礎で前進

 矢口 では次ですが、一時金で言うと組合結成前の交渉の結果では違いがありましたでしょうか。
 木我 これは時系列的に言えばいいのだから、ボーナスでいうと夏・冬3回分だよね。
 阿部 3回分ですね。勤務率という計算があって、それが最初は、正規職員支給に対して、×0・66でした。それが、一番最初の一時金の夏の交渉で0・67に上がりました。そのあと、今度は冬の一時金のときは、0・75に、平成23年の夏の一時金は0・8に上がりました。
 だから最初の組合結成前と比べれば、かなりの結果なっています。
 矢口 組合が要求をきちんともって、ぶれないで交渉していくと結果が出てくることで、実感されたと思います。少しでも生活が安定していけば、非常によかったと思います。

雇い止め阻止めざして

 矢口 続いて雇い止め阻止のたたかいについて、お伺いします。みなさん方はどんな態度、どんな姿勢で団交に臨まれたのか、お聞かせいただきたいと思います。
 鷹見 雇い止めの交渉は非常に時間がかかりました。本部と本社間の交渉も含め、どういう状況にするのが一番全員が確保できるのかということで、かなり話し合いがあったわけですけれども。
 私たちは本当にクビになってしまうという危機のなかで交渉していましたので、全員が非常に真剣で、かつ強い意志のもとで団体交渉に臨んだと思います。
 組合側とすると常に日勤・夜勤の関係もありますので、組合員は出られるかぎりの人数はでていただいて交渉しました。長野県医労連・長野労連等の上部団体、あと全日赤長野単組の組合員の方が応援にきていただいて、非常にすばらしい団交ができたと思っています。

施設側の姿勢の変化が

 矢口 たいへんでしたよね、振り返ってみれば。それで団体交渉を重ねるなかで、施設側の姿勢が現れはじめたというのは、いつ頃、どんな形で現れてきたのでしょうか。
 阿部 本格的な雇い止めの交渉に入ったのは9月からなのですよね。そこからやっと、話し合いの断片が少しずつ噛み合ってきたかなというくらいな変化でした。それまでは、こっちが言っても「ああ駄目です」「わかりません」、の繰り返しでした。9月に入ってからの団交ではだんだん細かな部分で問題点が浮き彫りになってきました。それに対して、こっちはこう考える、施設側はこう考えると話し合いがやっと少しできるようになってきたのが9月過ぎでしたね。
 木我 何回目の団交のときかな、上部団体とかいっぱい集まって、かなりヒートアップした団交があったよね。俺はあのへんから少しセンターも変わったと思うんだよ。
 阿部 10月に入ってからですよね。
 木我 いっぱい来てくれてね。われわれだけじゃ、なかなかあのようなヒートアップした交渉はおそらくできない。
 鷹見 ですよね。
 木我 たぶん施設側だって、ああいう団交は初めてじゃないかな。きっと。もう一つの組合の方だと、多分あんなことはないと思う。
 だから驚いたのか、ちょっとこれはあまりノラリクラリの返答ではどうにもならないと。私は、その辺からすこし変わったんじゃないかと思うんです。

阻止できた雇い止め

 矢口 なるほど。そうですね、たしかにありましたね。本当にヒートアップした団交がね。組合結成のきっかけとなった雇い止めが事実上の撤回となって、大きな前進となりましたね。そして正規職員への道も開けて組合員も試験を受けた方全員、正規職員の内定を受けることができました。この成果をきちんと受け止めてることが大切だいと思います。この結果を、それぞれご発言いただきたいと思います。
 鷹見 雇い止めが棚上げになったことが一つ。そして正職員に登用する道が開けたことがもう一つ。ただ、これが全員が正職員になれるということではなく、一部の条件を満たしている者が正職員の登用試験の受験資格があるということで、組合のなかからその資格がある者は試験を受けて全員、正規職員という形で今年の4月からなるわけです。今後は、今一緒にいる組合員全員が正規職員、もしくは正規職員と同じような身分保障をされる状況にもっていかなければいけないと強く思っています。まだまだたたかいは長いと思います。
 木我 ほとんど今、鷹見執行委員長が言ったことなんですけど、たしかに今まで同じ仲間が臨時職員でやっていて、それがこの間内部登用で、これで正職員に今年の4月からなると。これでまた、一部の組合員も試験で、たぶん正職員になれると思うのですけれども。
 組合としては、非常に喜ばしいし、成果もあげた部分もある。けれども、残された者にしてみると、今度は若干、温度差が出てくることも、たぶんあるのではないかと思うのですよ。だから今、鷹見執行委員長が言ったみたいに、全員が正職員になれば条件は一緒で、仕事だってそんなにやりづらくはないと思うけれども、その辺をこれから組合として、また、全面に打ち出していかなければならない部分であると思うのです。
 阿部 今、お二方が言われたようにですね、私が実際、正職員の内定をうけた立場なので、同じ組合のなかで、立場の違いが出てきてしまったという問題意識を私自身は持っています。全員がやはり、今までは同じ方向を向いていられたのが、若干、方向が変わってこざるを得ない部分はどうしても出てきてしまう。その部分をうまく埋めていくのが、私の役割だと思っているので、これからの組合の活動自体が大事になってくると考えています。

今後の運動課題の重点

 矢口 組合に終わりはありませんので、正職員になった日から、労働条件を引き上げていかなければいけない。嘱託・臨時の人をさらにいっそう引き上げなければいけないので、そのためにみんなで本当に団結して前進していければいいのかなあと思います。
 続きまして、血液事業の体制もブロック化を進めるなかで、新たな課題も生まれていると思います。それも含めて、今後の運動の課題についてお話しいただければと思います。
 鷹見 2012年4月からブロック化になり、かなりの体制が変わってくると思います。そのなかで、私たちは、いま月給制にはなっていないので月給制の問題とか、身分保障の問題とか、まずそこを早期に結果をだしていかなくてはと思います。
 ブロック化後の人事権については、地域センターがある程度の施設決定権があると聞いていますので、今後の交渉が大事なのかなと思います。

2012年を展望して

 矢口 最後に2012年の新春をむかえて、組合の展望、今年の抱負等をお聞かせいただいたいと思います。
 阿部 組合とすればね、今後ますます発展していく形で活動をしていきたいと思っていますし、かかえている課題を非常に多岐にわたって数が多いので、一個一個つぶすような形で一生懸命、みんなで力をあわせて、多くの人の声を聞いて、施設側と交渉を重ねていって、少しでも我々の働く環境をよくするようにがんばっていきたいと思います。
 木我 要求も今年もまたいっぱいあがっていますけれども、一つでも二つでも要求を実現するように、頑張っていきたいと思います。
 あと、組合員もここへ来て4人ほど増えました。また、今年、5人、10人と少しでも増えれば、たたかえるので、また頑張りたいと思います。
 鷹見 昨年は組合を結成して、いろいろな方々に協力していただいて雇い止めの問題を解決してこれました。新しい年をむかえて、まだまだ課題がたくさんありますけれども、組合員を増やしていくことが非常に大事なのかなと。組合員の数が増えることがやはり力となりますので、組合員拡大をしていきたいなと。
 それから、臨時職員のたたかいが全国に対してよい例となるように、正職員化にむけて頑張れればと思います。またこれからも力をかしていだたきたいと思います。
 矢口 たいへん長い時間にわたってありがとうございました。新しい年をむかえて思い切り組合で大いに奮闘していただければと思います。また、力をあわせて頑張りましょう。
 一同 ありがとうございました。

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