■2011春闘 安全・安心の医療・福祉へ 夜勤改善で大幅増員を!
いのち守る働くルールの確立と大幅賃上げで働きがいある職場を
春闘の要求とたたかい方を決定するための、全日赤2010年度第1回中央委員会が2月5日(土)から6日(日)にかけて開催されます。住宅手当や深夜手当の改善等を含め2010年度賃金交渉について一定のけじめをつけながら、2011年春闘のたたかい方を決定します。今春闘のたたかい方について書記長に聞きました。
中村書記長に聞く
春闘情勢はどうなってますか?
国税庁大臣官房企画課から2009年分民間給与実態が発表されましたが、給与所得の平均は406万円、前年比マイナス5・5%、23・7万円の減収となっています。諸外国と比べて長期不況にあえぐ日本の経済は、賃金が減少し国内消費が落ち込んでいるのが大きな原因です。大幅賃上げこそ、不況から脱却できる確かな道です。
一方、厚生労働省から医療機関種類別の概算医療費の動向資料が発表されていますが、2010年4月の診療報酬の改定を反映して、対前年同期比の伸び率は2010年4月〜6月において、医科病院全体で5・4%、大学病院で6・6%、公的病院で5・5%、法人病院で5・2%、医科診療所で1・7%のプラスになっています。
また2010年秋の医労連「いのちまもる全国縦断キャラバン行動」では、全国各地で「夜勤改善・増員」署名に対する賛同が大きく広がっています。
2011年春闘では景気回復のためにも大幅賃上げが必要であり、医療の職場においては増員による夜勤改善を含む労働条件の改善も行わさなければならない状況にあると言えます。
賃上げ闘争はどうなりますか?
従来の賃上げ闘争と同様に、統一闘争を軸にしながら職場と中央の賃上げ闘争を一体のものとしてたたかいを構築します。賃上げ要求額については、2011年春闘要求アンケートの集約結果と日本医労連の賃上げ要求を参考にしながら賃金専門委員会の議論を経て中央委員会で提案します。
人勧準拠打破にこだわる
日赤本社の人事院勧告に準拠する基本方針とのたたかいは、「労使自主交渉によって賃金・労働条件を決定する」という労働組合の存在意義にもかかわる問題として、全日赤が長年にわたり追及してきた賃金闘争の基本方針であり歴史です。
たたかいの到達点は、賃金引下げとなって以来、春期に自主決着ができない状態まで押し戻されていますが、今春闘では国民春闘を盛り上げながら、日赤本社にもベースアップはもとより諸手当改善などを含め、賃上げを行う姿勢を春期段階で追及します。
個人賃金の総点検を
サービス・不払い残業一掃の取り組みとともに俸給の格付け違いや手当支給の間違いなどがないかどうか点検を強めます。労働基準法や賃金協定というルールに従って支払うべき賃金はきっちりと支払わせます。
また嘱託・臨時・パート職員の賃金労働条件改善にも取り組みます。
本社統制にはどう闘いますか?
単組・施設間交渉で確立してきた諸手当や給付を「給与要綱にないものは廃止する」という動きが強まっています。このような、労使関係を破壊する攻撃に対しては、断固とした態度で臨み、本部・単組・地方協が一体となってたたかい、ハネ返します。具体的には、本社が統制を行なう項目については全国最低基準を作り、その基準に基づいて各単組施設が交渉することを追及します。
休日出勤手当の廃止は許さない
施設が一方的に休日出勤手当カットを強行した場合は、広島単組の裁判勝利解決の教訓をいかし、裁判闘争も視野に入れながら不利益変更は断じて許さないたたかいを展開します。
勤務評定はどうなってますか?
施設での実質的な勤務評定の実施は阻止してきたといえますが、また様々な理由をつけて勤務評定を実施しないと明言する施設も出ています。一方で「勤務評定に影響するよ」と労務管理の道具として悪影響を与えている事例も聞こえており、全日赤は本社が勤務評定の中止・撤回を行うまでたたかい続けます。
職場は人員不足で限界です。
増員闘争をどう闘いますか?
いま医師・看護師をはじめとする医療の現場では、かつてないほど過酷な実態に置かれています。この現状を改善するためには、「職場を改善することと、国の制度を変えること」を一体のものとして運動することが大切であり、全日赤は「職場を改善する」ために直接雇用している施設長や本社に対して、ILO条約など国際的な常識をもとに、夜勤制限をはじめとする職場のルール作りと大幅増員を徹底して追及します。併せて「国の制度を変える」ために「キャラバン行動」で作り上げてきた情勢をいかし、産別に結集して「看護師ふやせ」の世論づくりや政府・自治体・議員要請行動等に奮闘します。特に「夜勤改善・増員」署名は目標達成に向けて全力で取り組みます。
夜勤協定等、 働くルール確立で増員を
夜勤協定は、看護師をはじめとする交替制勤務者の労働条件の根幹といえます。そもそも夜勤は生態リズムに反して夜中に働くことから「有害業務」であり、夜勤協定は、有害業務である夜間労働をする上でのルール作りです。夜勤協定の締結・改善および協定遵守を追及します。
施設によっては「夜勤人員を減らすか、回数を増やすか」と迫ってきます。また職場では「今よりはマシ」と二交替制へとつながっていますが、増員すれば、三交替でも夜勤人員も確保し回数も減らせます。
サービス残業一掃を
サービス・不払い残業を放置していては、施設に「人手は足りている」との言い訳に使われてしまいます。タイムレコーダー設置などを含めた労働管理の徹底を追及するとともに、自己申告制のなかで「時間外手当請求は増員闘争」の観点を持ち請求運動を強化するとともに請求しやすい雰囲気をつくるための取り組みを強化します。
年休取得促進を
人手不足で休みも取れない状況であり、この状況が退職につながる悪循環となっています。昨年に引き続き年休取得に対する施設の規制を排除し、年休取得は増員闘争であることを広めて職場の雰囲気を変えていきます。 |