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機関紙「日赤労働者」

サービス・不払い残業 年休取得、福利厚生… 春闘要求アンケート 全日赤の独自項目を見ると

 2010年春闘要求アンケートでの賃上げ要求が高まっていることを809号で知らせてきましたが、サービス・不払い残業および年休取得促進、全社的福利厚生事業に関する質問など全日赤独自項目について分析をおこないました。

サービス・不払い 時間外が約5時間

 時間外労働は、昨年より平均で約1時間15分増加し、13時間28分となっています。またサービス・不払い時間外労働時間は、平均で6分増加で4時間51分と約5時間にもなっています。しかし回答分布を見ると「不払い残業ない」が2・7ポイント減り、「5時間未満」が5・5ポイント増加していることから、時間外労働している労働者は増加しているが、個々の不払い残業時間数は減少傾向にあり、不払い残業の平均時間がほとんど変わっていないものと読み取れます。

時間外手当を請求しやすい環境に

 時間外手当の請求に関する設問では、「時間外手当を請求できなかった」ことは「よくある」と「たまにある」を合わせて約7割が回答しています。その理由として、一番多いのが「自分の能力の問題」、次いで「周りが請求していない」となっています。
 一方で、職場では「始業前時間は業務として認められない」「自由参加の研修会・会議は業務ではないと言われる」など、時間外手当の削減だけを指示する傾向にあることが自由記載から読み取れます。これは、時間外労働を少なくするための指導を放棄し、個人責任に置き換えていると言えます。これらの思想攻撃に負けず時間外労働に対する賃金・手当を請求する環境をみんなで作り出さなければなりません。

時間外請求は人手不足の証拠

 時間外労働は、業務をこなすうえで仕方なくおこなっています。その要因は人手が足りないからであり、時間外手当の請求をしなければ、その実態を施設に知らせることはできません。今年の年間総労働時間は1883時間(週休二日)なので、本俸20万円の人だと5時間の手当は7969円となり、年間約9万5千円が不払いになっていることになります。この不払い残業が42人だと、施設は約400万円の人件費を支払わなかったことになり、1人分の労働力をタダで手に入れたことになります。請求しない理由として「10分・20分は請求しづらい」という記載がありましたが、人手を増やすためにも時間外手当をきっちり請求しましょう。

年休は労働者の指定した日に

 年次有給休暇の取得については、平均で1日減少しています。年休を取りたくても取れない実態が浮き彫りになっており、年休の請求を「まったくしたことがない」と答えた人が約34%、また希望した人数の約半数で「希望した日に取れなかった」と答えています。一方で、年休を何日取得したか「わからない」が12・4%、何日残っているか「わからない」が30・5%もいます。その傾向がもっとも強く表れているのは「20歳代」と「看護職」です。仕事をやめたくなる理由の一番が「休日がとれないなど忙しすぎる」であることからも急務の課題といえます。

グラフ

利用しづらいベネフット・ワン

 ベネフット・ワンの利用状況は、「まったく利用したことがない」が69・3%で、利用されていない実態が示されました。利用しない理由の多くが「利用するものがない」が38・9%、「他のほうが利用しやすい」が11・3%となっています。また「めんどくさい」「手続きが面倒である」や「利用方法がよくわからない」などの自由記載が目立ちます。
 北海道・東北ブロックと九州・沖縄ブロックの「利用したことがない」の割合が高く、ベネフットの調査と同様に地域格差があることが明らかとなりました。

グラフ

全社的福利厚生事業は見直すべき

 今後の利用について、「今後も利用する」が22・0%あり、「改善あれば利用する」が47・4%と最も多く、約半数となりました。一方「これからは使わない」は、13・4%にとどまっていますが、自由記載欄と合わせて見ると、「改善があれば利用する」と答えながら「ベネフットはやめるべき」「他の福利厚生にすべき」と記述している人もいることから、改善を求める声は「ベネフットではなく他の福利厚生」への転換を求める声も含まれていると考えるべきです。それであっても「利用する」「利用しやすいように改善」を求める声も確かにあるなかで、改善が必要な制度であることは確かであると同時に、改善がなされなければベネフットをやめ他の福利厚生を考えるべきだと思われます。

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