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機関紙「日赤労働者」

本社、時短と育児短時間勤務の内容を提示

 日赤本社が提案していた「所定労働時間の短縮」および「育児短時間勤務制度」について、一二月三日の団体交渉で具体的内容を文書にて提示してきました。また育児休業にかかる現行制度の見直しも合わせて回答しています。全日赤は団体交渉にて提案に対する質問を行うとともに、組合員の意見を聞いた上で再度交渉を行うよう申し入れました。

週労働時間の45分短縮(一日9分)を回答

 本社提示の労働時間短縮は、現行の実労働週三九時間三〇分を四五分短縮して、三八時間四五分にする内容です。週休二日では一日九分の短縮となります。
 全日赤は、「時間短縮は永年の要求であり、提案は一歩前進回答であると受け止める。しかし要求からすればまだまだであるとともに、交代制勤務者の労働時間は通常勤務者より短くするようにも要求している。要求実現にむけて検討してほしい」と現時点での考え方を述べました。
 また始業終業時刻については、各施設が定めるようになっていることから、休憩時間を延ばして実労働時間を短縮する動きもあることを追及しました。これに対して本社は「所定労働時間の短縮とは、拘束時間の短縮につながるものであると考えている」と答弁しました。例えば現行で、始業八時三〇分・終業一七時一〇分(休憩四六分)は、始業八時三〇分・終業一七時(休憩四五分)と終業時刻を早めるなどを意味します。

時間単価が引き上がることに

 労働時間短縮に伴い、「勤務一時間当たりの給与額」(時間単価)が変わることについて、実施時期の四月一日以降の勤務に対しては適用することを確認しました。ただし四月の賃金支払における時間単価にかかる手当(時間外手当、深夜手当、休日出勤手当)は三月の勤務実績に基づくものであり、改訂前の週労働時間三九時間三〇分を用いて計算され、五月の賃金支払から当該手当は改訂後の週労働時間三八時間四五分を用いて計算した額となります。
 例えば俸給額二〇万円だけで計算すれば、週休二日制の職場で改訂前は年総労働時間(二〇〇九年)は一、八九六時間であり、時間単価は一、二六六円ですが、改訂後の年総労働時間は一、八六〇時間で、時間単価は一、二九〇円となります。時間単価が二四円(一・九〇%)引き上がることになります。

育児短時間勤務制度の導入提案

 制度の概要は、離職防止の観点から育児のために短時間勤務を希望する場合は、それを認めるというものです。ただし配偶者が育児をしている場合は除かれます。現行の部分休業と違う点は、(1)より短い勤務形態が可能、(2)週単位の時間短縮が可能であるところです。また本社が強調している点は、期間(初日と末日)、勤務の日及び時間帯を職員が明らかにし、施設がそれを認めるというもので、決して施設からの押しつけにはしないということです。

対象職員はフルタイム職員

 本社が考え方を提案した時点から、全日赤は「職員と同様に働いている非正規職員にも適用すべきである」と主張してきましたが、今回の内容提案では正職員に加え常勤嘱託者と臨時職員が対象となっています。団交にて「週の労働時間が正職員と同じ職員は対象とするものである」との回答を本社は行っています。

勤務形態は職員が決める

 勤務形態について、所定労働時間の短縮を前提とした勤務時間数として、通常勤務者は四つの勤務形態とそれ以外から選ぶものとし、交代制勤務者は週労働時間の範囲を定めてその範囲内で職員が設定するというものです。また交代制勤務者は、夜勤(長時間夜勤含む)も可能であると団交で回答しましたが、あくまでも本人が希望した場合であることを強調しています。

代替要員は努力するもの

 全日赤の「育児短時間勤務者の代替要員がなければ取得は困難と思われる」との追及に対して、本社は「代替要員の確保に向け施設も奮闘してくれると思う。代替要員の確保ができないからといって承認しないことはないが、事業の正常な運営を妨げる場合には承認しないこともありえる」と答えました。制度を導入するのであれば実効あるものにすべきであると全日赤は考えます。

6歳まで繰り返し取得可能

 提案では、当該子が満6歳に達するまでは繰り返し取得が可能となるものです。一回の取得は一ヵ月以上一年以下の期間ですが、終了日一ヵ月前までに請求することにより延長を認め回数制限もありません。ただし、一度終了したあとに再度取得をする場合は、終了後六ヵ月は取得できないものとしています。

賃金は一部減額、年休も

 本社提案は、俸給および医師確保調整手当(定額分)については、「勤務時間数に応じた額」とし、俸給に連動する役付手当、医師確保調整手当(定率分)、地域手当、広域異動手当、隔遠地手当も減額するというものです。一方、扶養手当、住居手当、寒冷地手当、単身赴任手当は全額支給とし、通勤手当も原則フルタイム勤務時と同様に支給するが、平均一ヵ月当たりの通勤所要回数が一〇回未満の場合は半額にするというものです。また、一時金の基礎額は、フルタイム勤務時の俸給月額とし、昇給・昇格についても通常の昇給・昇格としています。
 年次有給休暇については、育児短時間勤務中の一月一日に一週間の勤務日数に応じた年次有給休暇を付与するとして、週五日勤務では二一日、週四日勤務では一七日、週三日勤務では一三日、週二日勤務では九日としています。

要求前進、現行制度の改善

 かねてより全日赤が要求してきた、部分休業等の範囲拡大および育児休業の復職時調整改善について、本社は前進回答を行っています。部分休業、時差出勤及び所定労働時間を超えない勤務の対象となる子の範囲を現行「3歳に満たない子」から「満6歳に達する日以降の最初の三月三一日に対するまでの子」まで拡大し、育児休業をした職員が勤務に復職したときの俸給月額の調整において、育児休業期間を引き続き勤務したものとする割合に改正すると回答しました。

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