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WHY NOT 9 ? 世界は9条をえらび始めた 「9条世界会議」開催される

 戦争放棄をうたう日本国憲法9条の世界的意義を考えようと、幅広い知識人などが呼びかけた9条世界会議が五月四〜六日、千葉市の幕張メッセで開催され、三日間でのべ二万二千人以上が参加しました。国内外から多数の参加者がつめかけ、初日には会場に入りきれない人が三千人にのぼった。仙台、大阪、広島でも関連行事が開かれました。
 初日の全体会で基調講演した北アイルランドのノーベル平和賞受賞者、マイレッド・コリガン・マグワイアさんは「日本の平和憲法の核心は前文と9条。(制定から)六十年にわたって軍備廃絶の基調をつくり、東アジアの平和に寄与してきた」と述べました。
 米国の平和活動家、コーラ・ワイスさんは「九条を世界中の憲法に入れる手伝いをするために私はこの場に来た」「核兵器をなくし9条を守るために行動を起こそう」と呼びかけた。
 トークセッションでは、米国のイラク帰還兵、エイダン・デルガドさんとイラクの元兵士、カーシム・トゥルキさんが席を並べ、「兵士としてイラクに行き、美化されていた戦争がすべて嘘だと知った」(エイダンさん)、「軍事行動は破壊を進めるだけ」(カーシムさん)など、自らの戦争体験や平和活動への思いを語りました。

9条の世界的意義を考えよう

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2002年広島の中学生の平和の一言メッセージを元に作られた「ねがい」が会場で合唱されました。

 「世界会議」の名に恥じない、本当に多くの海外の人たちが参加しており、我々日本人が思っている以上に、日本の憲法9条が世界に知られているということを感じました。
 ダンスや音楽ライブなどもふんだんに盛り込まれ、二日目には多くの分科会やパネル討論、自主企画などが行われました。この世界をもっとより良くしたい、そのために平和をつくらなければと、熱気あふれる集会でした。

日本から
池田香代子(「9条世界会議」日本実行委員会共同代表)さんの発言

 今日、ここに人類の希望の一里塚を築くという、人類史上きわめて重要で喜ばしい務めを果たすために全国から、全世界からようこそお集まりいただきました。この務めは私たち市民しか果たしえないものです。なぜなら、この務めは私たち世界中の市民が憲法によってそれぞれの国の交戦権を封鎖したときに初めて完成するからです。憲法は私たち市民の政府に対する命令であって、その主語は私たち市民なのです。
 幸いにして、私たち日本の市民は政府に戦争を中止させる憲法を持っています。これは人類が近代の歴史の中で育んだ非戦の思想の本流に位置するものであり、その国と市民が過去、近隣諸国の市民に対して犯した恐ろしい戦争犯罪を心から悔悟し、市民自らが被った戦争被害の悲惨さを見つめる中で、私たち市民が選び取り、六一年努力して維持し続けてきたものです。
 三日の憲法記念日に向けて多くの市民が「憲法変えるな」のシール投票を行いました。結果は、「変えるな」が八一%です。年々、「変えるな」という意見が増えています。この憲法で、私たちはこの国に生きる権利があると宣言し、政府にこの権利を擁護する義務を課しました。ところがこの国の政府はともすればそれを無視したがっており、今このときも日本政府はイラクに輸送機を送り、インド洋、アラブ海域に補給艦を出して、明らかに戦争に加担をしております。
 このような政府のふるまいを止められない私たちは、世界の平和を愛する市民に皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱいです。けれども、先月、名古屋高等裁判所はイラクへ航空自衛隊を出していることは憲法違反であるとの判決を下しました。三二六五人の市民が四年をかけて勝ち取ったこの判決を、私も原告の一人として法廷で聞きました。憲法によって戦争を拒否するこの喜びを皆さんとともに味わうことができ、たいへん幸せに思います。
 政府が戦争に走ることを憲法によって封じることのできるこの喜びは、しかし、世界のすべての市民のものにならなければなりません。その重要性をもっとも理解しているのは紛争地域で困難を強いられてきた市民です。
 四月一日、エクアドル議会は外国人基地を国内に置くことを拒否する憲法条項を可決しました。ボリビア大統領は昨年、日本を訪れたとき、新たな憲法には戦争放棄を盛り込みたいと表明しました。そして、コスタリカとパナマは常備軍を持ちません。こうした勇気ある決断をする政府を選んだ市民の皆さんに心からの敬意を表したいと思います。
 世界の憲法にはさまざまな形で平和への思いが込められています。こうした憲法が圧倒的多数を占めています。それをもう一歩進めて、政府から交戦権を取り上げ、真に民主主義的な憲法へとさせること、それが私たち市民の願いであり、務めであることをここに再確認したいと思います。
 今、私たち市民が国際的協力によってできること、すべきことはたくさんあります。私たち市民と言う時、これまで思いを十分に表明したり、行動することを阻まれて、社会や歴史の片隅に追いやられた人々、つまり、先住民や途上国の市民、先進国の貧困にあえぐ市民、難民、病気や障害を持った人々、子ども、女性などがそこに多くの比重を占めていることは私たちの強みです。彼らの知恵が今こそ生かされることがこれまでの発想を変え、世界に新しいさわやかな風を吹き込むことになるからです。
 私たち市民がすべきこと、これはほんのたとえですが、すでに地球の大部分を覆っている非核地帯をさらに広げて、核兵器にしがみつく少数の国を包囲し、核兵器が意味を成さぬようにすることです。各種の武器の禁止などもそうです。
 世界には問題が山積みですが、問題の解決に手段はふたつしかありません。戦争をはじめとする暴力か、話し合いでのふたつです。話し合い、つまり民主主義は戦争を否定して初めて本物になるということを私たちは今一度、明記しなければなりません。
 世界は貧困と気候変動にまったなしに対応を迫っています。戦争をしている場合ではありません。ジョン・レノンはイマジンに歌いました。ここで否定されている国家とは、それがなければ私たち市民が殺しあうことがなくなるというのですから、交戦権を持った近代国家であることは明らかです。イマジンはすべての国家が交戦権を放棄した世界をうたっているのです。ここには日本国憲法が提案する平和の定義がうたいこまれているのではないでしょうか。世界の平和を愛する市民のみなさんはこの歌をうたうことで日本国憲法第9条をとっくにわがものにしているのです。
 さあ、皆さん、後世の人々に二〇〇八年五月四日という日付を、日本の幕張という地名を喜びとともに思い出していただくために、それぞれの持ち場に戻って仕事に取り掛かりましょう。

世界の希望としての9条

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「MOTTAINAI」のマータイさんはビデオメッセージを寄せられました。

 「9条世界会議」に対し、著名人からはメッセージが寄せられていました。
  「後戻りせず、前に進みましょう。戦争のない世界へ。すべての国が憲法9条をもつ世界へ」(ワンガリ・マータイ ケニア/グリーンベルト運動・二〇〇四年ノーベル平和賞受賞)、マータイさんはビデオメッセージも寄せていました。
 「地球市民の一人として、9条を支持します。9条を日本から取り除くのではなく、世界へ広げるキャンペーンをしていきましょう。」(ジョディ・ウィリアムズ アメリカ/地雷禁止国際キャンペーン・一九九七年ノーベル平和賞受賞)、「日本が世界に誇れる一番大きなもの―それが9条です!」
(吉永小百合 日本/女優)

 海外ゲストの皆さんは「戦争と軍隊の廃絶」という最も本質的なテーマを真正面から掲げた平和会議に、一九九九年のハーグ平和会議の参加者の二倍にのぼる日本の市民が関心をもち参加したことに対して、たいへん感動したと感想を述べられています。
 最終日の五月六日、9条世界会議は、以下の四つの文書を発表しました。

一、戦争を廃絶するための9条世界宣言
二、核不拡散条約(NPT)再検討準備委員会に対する9条世界会議の声明
三、G8に対する9条世界会議声明
四、9条世界会議第一次レポート
http://whynot9.jp/sb/log/eid43.html

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