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機関紙「日赤労働者」

医師が足りない!このままではいのちも健康も守れない

 全国的な医師不足が地域医療の崩壊を招いています。特に産婦人科の不足は際だっており、日本産婦人科学会の調査では、出産を扱う病院・診療所は二〇〇二年が六、三九八カ所あったのに、二〇〇六年は三、〇六三カ所に減り、出産にかかわる医師も四分の三に減少しています。また、救急を取り扱う病院も、二〇〇一年に五、〇七六カ所あった「救急告示医療施設」が医師不足と財政難を理由に取りやめるところが増え、二〇〇六年には四、六三三カ所に減っています。こうしたことから、全国で「里帰り分娩を断られた」「救急車をたらい回しにされた」「子どもが熱をだしても診てもらう病院が近くにない」など悲鳴があがっています。救急車がいくつもの病院をことわられ、死産になった、あるいは救急車のなかで亡くなったという事例もうまれています。
  日赤病院も例外ではなく、本社調査では八割の病院が医師不足と訴えています。長野赤十字上山田病院は、今年四月から、内科医二人と整形外科医一人の診療所になってしまい訪問看護や透析は残るものの、入院ベッドはなくなります。住民の方々からは、なんとしても入院施設は残して欲しい、救急も再開してと切実な要望が寄せられています。しかし、医師の減少に歯止めはかからず、〇九年からはどうなるか分からない状態です。
  そこで、長野単組も参加している、「長野赤十字上山田病院を存続させる会」として、昨年一一月二三日に「長野赤十字上山田病院の医療の充実に向けた緊急シンポジウム」を開きました。当日は一五〇名が参加し、病院存続に対する熱い思いを出し合いました。

 

長野赤十字上田病院の医療の充実に向けた緊急シンポジウム

 

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 『シンポジウム』では、最初に全日赤・太田委員長より、一九九七国立長野病院のあとを引き受け、長野赤十字上山田病院として出発し、三年目からは病院経営も軌道に乗っていたが、〇六年から医師不足や療養型の診療報酬切り下げにより大きな赤字となり、経営危機となったこと、労働組合としても、地域住民と「存続させる会」を立ち上げ、署名運動とともに、日赤本社や厚労省、県知事に対する運動を行ってきたが、〇七年四月からは医師が三人になってしまい、透析と訪問介護は残るが診療所になってしまうことが話されました。
  続いて社保山梨病院長の飯田先生からは、病院と住民の信頼関係が大切であり、そういう目で「医療人」を育てて欲しいこと、是非病院を存続させて欲しいと述べられました。〇七年夏『在宅介護サービス』存続の署名を三七〇〇名集め、 上山田地域でケアマネージャーをされている丸山貴広さんは、「在宅サービスだけ残っても手放しで喜べないの本音です」「病院あっての在宅介護。救急夜間対応の機能も持っていただきたい」との話がありました。
  坂城町の住民の松沢さんは、「病院はこの一〇年間、住民をよく守ってくれた」と感謝を述べられる一方、〇六年に病院が存続の条件として、千曲市と坂城町に三億六千万の補助金を求めた時に、自治体が「どうして受けなかったのか」、そして一年経って今度は、「病院が入院施設を残さないから、行政もやめてしまうといことは通らない」こと。病院も「良質で安全な、ぬくもりのある地域に密着した医療をやる」というのは「看板として出しておいただけか問われる」と批判をされました。
  次に上山田病院・検査技師の南雲さんからは職員の立場として、「もっと患者さんを診てあげたいし、さみしい」「患者さんが来なくなると、職員も働きがいを失う」「住民の力と職員も一緒にがんばっていきたい」と発言されました。最後に長野県医労連・鎌倉書記長からは、長野県の医師不足の実態について話されました。
  集会ではその後、フロア発言として地域住民の方々、自治体の議員から続々と日赤本社に対する批判や全日赤への強い要望などの意見が出され、終了しました。

感想・病院に対しての要望・意見

  • 『医療は危機に瀕す』の演題の中身が、多角的に視し、スタッフと利用者(国民)の視点から整理していただき、日本の医療や保険制度の実態が良くわかった。国民の力で政府を動かさなければならない重大事態である。(上田市 七〇代男性)

  • 日赤=全国民が最も信頼している医療機関。この地方で閉院し地元を裏切れば、今度は日赤会員辞退の運動をしたいと考える。市・町と議会が特別委員会を設けたのだから、地域住民の立場にたって住民運動を先導すべきだ。(坂城町 七〇代男性)

  • 日本赤十字という公共的全国組織の立場として、住民の医療を確保する責務を果たす責任がある。全国的に勤務医が不足し地方の医療機関が危機的状態に陥っているが、日赤の組織を挙げて、この問題にもっともっと懸命に取り組み地域医療を確保して欲しい。病院の現状は受け止めるが、日赤として責任を持って後医療の道を開拓して欲しい。日赤の無責任な姿勢を正させ、自治体として後医療を【必ず確保】して欲しい。市民の生活、命にかかわる問題であり、行政の使命として取り組んで欲しい。(千曲市 七〇代男性)

救急医療の確保を 命を守るところ、必ずや存続を

  • 自治体はいかなることがあっても存続に努力すべきだし当然だ。市民から無利子で借りることだって出来るでしょう。(千曲市 八〇代男性)

  • 病院として残る場合の医療内容(標準的医療を二四時間確保するのか、それとも診療所レベルでよいのか・・・高くは望まず、差し当たり診てもらえれば良いと割り切れるが)のコンセンサスが作れればよかった。(長野 五〇代男性)

  • 診療を受ける側として、見えていない医師の労働の現状を知る機会になりました。“深刻な医師不足”が続く中で、いったい私たちに何が出来るのか具体的にはすぐ考えられなかったですが…医療難民を作り増やさないよう対策が具体化され効果をあらわすことが出来ればよいと感じます。辛い気持ちは病院側も地域住民も一緒な現状を実感します。病院の存続とともに、付属の介護保険対応の施設など自宅に生活する方々が安心して医療・介護サービスが受けられる施設の確実な存続も保障して行って欲しいと思います。(千曲市 二〇代女性)
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