■私たちの運動によって、政治はかえられることに確信をもち、安全・安心の医療を実践できる職場をつくろう 全日赤中央執行委員長 太田千枝子
新年おめでとうございます。
昨年は、本当に激動の一年でした。特に、七月の参議院選挙で自民党が歴史的大敗をし、参議院で与野党逆転がおきてからの政治の動きから目が離せない状況が続いています。本来なら参議院選挙の結果で安倍首相は退陣すべきでしたが、臨時国会を召集し所信表明までおこないながら、政権を投げ出すという日本の政治史にない無責任な行動にでました。しかし、安倍首相を政権投げだしに追い込んだのは、国民の審判でした。大企業優先、アメリカ優先の自公政治に、また「戦後レジームからの脱却」と言って憲法まで変えてしまおうとするタカ派路線に国民は「ノー」を突きつけたのです。
「こんな政治ではもう生きていけない」という声の広がりの一つが、貧困の問題です。どんなにまじめに働いても、二〇〇万円以下の収入しか得られない労働者が一千万人を超えました。福田首相は、所信表明演説で「若者が明日への希望をもてる国づくりをめざす」といいましたが、若者が希望をもてないのは、不安定雇用と偽装請負などの違法な働かせかたが蔓延しているからです。最近特に問題なっている「ワンコール派遣」「日雇い派遣」は、仕事がある時だけ携帯電話にメールが届き、仕事に向かう登録型派遣という最も不安定な派遣労働であり、ただちに廃止するべきです。
医師不足が深刻です。日赤本社の調査(〇七年)でも九二の日赤病院中七六病院で医師が不足しており、その数は六一四人でした。一昨年の調査と比べても一七七人不足数が増えています。本社自身「自助努力の限界を超えている。地域医療だけでなく、災害時の救護活動にも影響する」とコメントしています。産婦人科医の不足により、病棟の閉鎖も相次いでいます。里帰り分娩は受け付けないという地域もあり、政府は少子化対策といいながら、お産を受けてくれる病院もないなんて、いったいどうしろというのでしょうか。国民生活にかかわる抜本的な政策転換、つまり、大企業には空前の利益をもたらしながら、国民の中には貧困と格差を広げる「構造改革」路線を改める政治が、今ほど求められているときはないと感じます。
世界第二位といわれている膨大な防衛予算に軍需産業と政治家、防衛省幹部がむらがり、不正や利権の温床になっていること、防衛省からの受注金額が多い企業ほど、防衛省からのたくさんの天下りを受け入れ、また、自民党への多額(六年間で一二億七千万円)の政治献金をしているという構図が明らかになりつつあります。いまこそ、不正をただし、軍事費の削減に取り組むべきではないでしょうか。
世論調査では「憲法が日本に平和がつづき経済発展をもたらした」と評価する人は八六・五%に達しています。そして、「九条をかえない」は半数を超えているのです。平和憲法を守りぬく運動をいっそうすすめたいと考えます。
昨年の沖縄の歴史教科書問題での島ぐるみのたたかい、岩国・座間での米軍基地強化押しつけに対するたたかい、そして私たちの、医師・看護師ふやせの一〇・一八集会の成功などたたかいは前進しています。全日赤は、今年も、「勤務成績による昇給制度」を実施させないたたかいを前にすすめながら、長時間・二交替制夜勤の導入を許さず、働き続けられる職場、安全・安心の医療・看護が実践できる職場をめざして、組合の仲間を増やして、ともにがんばることを呼びかけます。 |