■参議院選挙で世の中かえよう 全日赤中央執行委員長 太田千枝子
七月一二日公示、二九日投票で参議院選挙がおこなわれます。選挙でどの党が勝っても世の中変わらないと考えていませんか。選挙なんて関係ないと考えている人も、国会議員を選ぶ選挙って何なんだろう。一緒に少し考えてみましょう。
今の世の中って、ヘン?!
「ネットカフェ難民」と言われているように、若者たちに貧困が広がっています。若者の二人に一人が非正規雇用という実態の中で、いくら頑張って働いても二〇〇万円以下の収入しか得られず、住むところも確保できずネットカフェで寝泊まりするしかできない。こんな世の中ってヘンです。景気が良くなった、トヨタ自動車は二兆円を超す最大の利益をあげていると騒いでいる一方で日本の貧困化は青年たちの体も心もむしばんでいるのです。何故こんなことになったのでしょう。九〇年代から、アメリカと財界の意向を受けて、労働者派遣法を次々と改悪し、小泉時代に「規制緩和」を強力にすすめた結果のあらわれです。貧困問題は、まさに政治の責任ではないでしょうか。
なぜ医師がこんなに不足しているの?
全国的に医師不足は深刻です。医師が全くいなくなり閉じた自治体病院があちこちでうまれています。日赤病院でも、産科を閉じたり、医師不足により経営が悪化している病院がうまれ、医療が受けられない地域が出きています。なぜこんなことになったんでしょう。八〇年代から、医療費抑制のために医師の養成を減らしてきたつけが回ってきているのです。日本の医療費は先進国の中でも最低です。医師数はOECD諸国三〇カ国の二七番目、直に三〇番目になると予測されているのです。
こんな事態なのに、厚労省は「医師は不足していない、偏在が問題だ」の一点張り。これこそ政治の大問題です。
六月の増税にビックリ、年金はどうなるの?
今、地方自治体から住民税の納税通知書が各家庭に届きはじめていますが、その増税ぶりにビックリです。一〇万円を超す増税は当たり前、市役所への問い合わせが相次いでいます。自民・公明政権が決めた定率減税の廃止(所得税一月、住民税六月実施)の影響が一気に六月に表面化しています。二〇〇五年と〇六年の税制改正で増税を決めたのですが、理由は年金財源の確保でした。しかし、年金の財源に使われたのは二割にも達していません。その年金が、今「消えた年金」として大問題になっているのです。しかも政府は社会保険庁を解体し民営化しようとしており、あまりにも無責任です。
憲法九条をかえたらどうなるの?
安倍首相は、憲法を変えることを参議院選挙の争点としたいと述べ、「改憲手続き法」を急がせ、成立させました。その上で、改憲派の有識者を集め、集団的自衛権行使の研究までさせています。「改憲手続き法」は最低投票率も定めない法律で、国民の一〜二割の賛成で憲法改悪が可能。日本がアメリカといっしょに戦争ができる国になったら、日赤の看護師たちは、再び戦地へ送られることになるでしょう。日本の防衛費は四兆八千億円もの巨額になる一方で、生活保護・社会福祉・失業対策費の合計は四兆円です。軍事費の方が国民の生活を守るセーフティネットより大きいのです。参議院選挙はこうした国の予算の使い方を問う絶好のチャンスです。憲法九条を変えてしまったら、どうなるのか考えてみましょう。
必ず投票に行こう
以上、争点について主なものを上げてみました。参議院比例区の候補者のなかには、いわゆるタレント議員もいれば、医師、栄養士、看護師など業界代表もいます。しかし、国会は国民全体に関係する法律を決める場所であり、業界のためのことを決めているわけではありません。看護連盟の代表が自民党の国会議員になっても、医療改悪の先頭にたっていると考えると、大きな矛盾を感じます。また、看護連盟の候補者を職制の指示で押しつけることは、民主主義に反する行為です。選挙権は国民が政治に参加し、今の政治を変えたいという意思表示ができる大切な権利です。各政党がどんな政策をもっているか、またどんなことをやってきたか、よく見て、よく知って必ず投票にいきましょう。二九日が勤務にあたった方には、期日前投票をすすめます。
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