機関紙「日赤労働者」

2025年度賃金交渉妥結
平均1万5101円の賃上げ

 全日赤は、2025年度賃金改定について第79回定期全国大会の決定に基づき、全日赤中央闘争委員会の責任において、12月16日の本部本社間団交での到達点である平均1万5101円(3・79%)の賃上げをもって妥結することを決定し、本社に通告をおこないました。

交渉経過について

 (1)2025年度の賃金闘争は、大企業だけでなく中小企業も含め33年ぶりの高水準となった2024年度をさらに上回る歴史的な賃上げとなる情勢のもとで始まりました。全日赤は、2月8日から9日に中央委員会を開催し、要求アンケート結果から本俸一律3万3000円(体系是正を合わせて5万円以上)の賃上げ要求を決定しました。また、春闘統一要求書を2月28日に提出しました。
 (2)回答指定日の3月12日の団体交渉で、本社は「世間並みを基本とする。具体的な回答は差し控えたい」と有額回答も賃上げの姿勢も示しませんでした。
 (3)3月27日の団体交渉において、本社は「人がいないと経営は成り立たない。賃金は、人材確保のための重要なファクターの一つであると認識している。令和7(2025)年度においても賃金の引き上げの可能性を十分に検討していきたい」と賃上げ姿勢は示したものの、具体的な改定額や改定時期の回答はしませんでした。
 (4)4月20日に拡大地方協代表者会議を開催し、春期決着に向けてストライキの回避基準を決め本社追及をおこなうことを意思統一しました。4月22日の団体交渉で、2月より開始した「すべての職員の大幅賃上げと4月実施を求める職員・家族署名」の提出をおこない、本社が「賃上げの必要性について否定しない」と3月回答よりも、更なる賃上げ姿勢を示し、回答内容の文書確認することを本社が了承しました。
 (5)第79回定期全国大会において、2025年度賃金確定および年末一時金を含む秋年末の闘争方針を確立しました。
 賃金交渉における本社回答については、10月13日に開催する第1回単組・地方協代表者会議での議論を踏まえ中央執行委員会の責任において判断し、次期機関会議にて事後承認を得ることを大会で決定しました。
 (6)8月1日におこなった「経営説明団交」で、本社は、「一般会計の社資収入は漸減傾向。福祉事業および血液事業は黒字。医療施設特別会計(医療特会)は、退職給付債務の影響で総収支は黒字(退職給付の影響をのぞくと赤字)」と説明がされました。医療の黒字施設は67施設、赤字施設は25施設だが退職給付の影響をのぞくと黒字施設3施設、赤字施設89施設となり、本社としても、補助金継続と診療報酬改定を他団体とともに国に要請していることが説明されました。
 (7)人事院は8月7日に2025年度の国家公務員給与に関し、官民格差「1万5014円、3・62%」に基づく月例給の改定と、一時金については0・05月引き上げなどを柱とした、4年連続の引き上げ勧告をおこないました。勧告の骨子については、高卒初任給を1万2300円引き上げ、医療職(三)の短3卒(高卒後3年課程修了)看護師初任給を1万400円、福祉職初任給を1万2900円引き上げで、若年層に重点を置いた全俸給表を引き上げるとしました。
 (8)9月4日の団体交渉において、本社は「医業収支は大幅な赤字で賃上げが厳しいが、今春闘における世間の賃上げ状況を踏まえ、物価高騰、人材確保のため来年3月の賃金改定する」と、世間とは異なり4月に遡らない回答をしました。全日赤は「現給保障を超えない職員にとっては、俸給額が引き上がっても賃上げにならず、ベア評価料の特殊勤務手当が賃上げ原資に使われ、実質的には賃下げになっている。全職員が実感できる賃上げをすべきだ」と、本社に再考を求めました。
 また、本社の寒冷地手当の見直し(2025年11月実施)提案について全日赤は提案から実施までの期間も短く、協議をつくしていないとして再考を求めていました。本社は「実施時期を来年4月からとするため手当反映は2026年11月からとする」との2次回答をしました。
 (9)10月1日の団体交渉において、本社より「(1)地域包括ケア病棟及び地域包括医療病棟に勤務する介護職員及び介護福祉士を福祉職俸給表の適応範囲に加える、(2)初任給格付けの見直し(管理栄養士、義肢装具士、歯科衛生士、歯科技工士の大卒の初任給の新設と一般職(二)の中卒の初任給格付けをなくす)、(3)「臨時補給金の支給に関する見直し」の提案がありました。全日赤は本社提案を受け、持ち帰り検討することとしました。
 (10)10月13日に開催した第1回単組・地方協代表者会議では、本部は、「本社は民間の賃上げ実態を参考に、率・額は昨年を下回るが賃上げ回答をした。しかし、実施時期が来年3月であり、全ての職員が実感できる賃上げとなっていない。単組施設で賃上げが必要と世論の高まりがあることが必要で11月5日の最終提出まで署名を集めきろう」と提起しました。また本社から提案されている「諸手当の見直し」「定年年齢の引き上げ」の交渉経過を説明しました。
 翌日の14日には、本社要請行動をおこない、参加者は職場の過酷な実態や、賃上げ・賃金改善、勤務評定廃止や、定年年齢の引き上げ提案などに対する労働条件改善などを訴えました。
 (11)日赤内にある中央3組合(全日赤、日赤新労、日赤労組)は、2025年度賃金改定提案に対し共闘できる要求点をまとめ、「賃金改定を4月から実施するよう求める」共同声明を作成し、10月29日に本社に共同で提出をしました。
 (12)11月5日の団体交渉において、全日赤は、9月より始めた『すべての職員が実感できる賃上げ署名』を本社に提出し、「全ての職員が実感できる賃上げと4月実施」を追及しましたが、本社は「共同声明でも実施時期の強い要望を受
け取った。現下の経営状況は厳しく最大限の回答である。前進回答を持ち合わせていない」とかたくなな姿勢を変えませんでした。しかし、本社は、定年年齢の引き上げの2次提案しました。全日赤は本社提案を受け、持ち帰り検討することとしました。
 (13)12月1日の団体交渉において本社からの賃上げ実施時期の前進回答はなかったものの、待機手当が来年3月末で経過措置が終了することについて、全日赤は「待機手当の引き上げと施設長裁量による金額を決定できるものにすべき」として早急な協議を追及しました。本社は「各施設の運用や支給実態を把握し、現場の状況を踏まえた見直しの必要性について、来年度より協議を深めることはやぶさかでない」と回答し、交渉した内容の文書確認を本社は了承しました。また、定年年齢の引き上げの再提案、手当関係の3次提案(寒冷地手当の経過措置期間を1年延長(2029年3月まで)し、段階的な減額措置)、休業補償にかかる取り扱いの見直しの提案がありました。
 (14)12月13日の中執において本社回答等について議論しました。実施時期が2026年3月からであることには不満はあるが賃上げであること、寒冷地手当の実施時期を1年延期させさらに激減緩和措置の期間を延長させたこと、『待機手当の早期調査と協議をする』交渉議事録を取り交わせたこと、また全日赤要求の前進があったことなどを踏まえて妥結することを決定し、2026年2月に開催する第1回中央委員会において事後承認を得ることとしました。
 (15)12月16日の団交において、全日赤は、本社に対し妥結表明をしました。
 また、定年延長の提案については、本社から年内合意を求められていましたが、本社および全日赤内でも協議し尽くされておらず、職員の将来設計に大きく影響する内容であることから引き続きの協議を求め本社も了承しました。

2025年度賃上げ内容

 (1)今年度は、1万1176円(2・08%)の引き上げ、定昇込みで、1万5101円(3・79%)の賃上げを回答させました。初任給層では、大卒事務1万2300円、高卒看護助手2万1700円、6大卒医師1万4200円、短3卒医療技師1万2300円、短3卒看護師1万3400円、短大卒保育士1万2900円と若年層に厚い引き上げとなっています。再雇用職員俸給表も含め全俸給表での引き上げで現給保障を超える職員も増えますが、一方で現給保障を超えない職員は定期昇給すらなく、十分と言える回答ではありません。
 (2)人事院勧告の2025年4月実施に準拠せず、2026年3月の実施時期は納得できるものではありませんが、重点課題である待機手当の交渉議事録を引き出せたことは、署名の積み上げ、本社要請FAXや各単組がストライキを構えた全日赤のたたかいの結果と言えます。

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