機関紙「日赤労働者」

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 「高額医療制度」は年収や年齢により月ごとの自己負担限度額を設けることで家計に対する医療費負担が過重にならないようにする仕組みで、この自己負担額引き上げが、昨今、大きな議題となっている。政府は、医療費の自己負担上限額を今年の8月から段階的に引き上げる方針で、具体的には年収約510万円の世帯で27年には11万3400円程度の負担に▼この動きに対し、患者団体や医療従事者からの強い反対の声が上がっている。私自身もだが、高額な医療費が継続的に必要な人々にとって、自己負担の増加は治療の継続に深刻な影響を及ぼす可能性がある。「治療を続けられるか不安」との声も多く、医療へのアクセスが制限されることへの懸念も広がっている▼一方で、政府は医療費の増大や財政負担の観点から、制度の見直しが必要であると主張。患者団体との面談後、政府は一部を修正し、長期的に治療を続ける患者はいまの金額のまま据え置くことを表明した▼医療費負担の増加は労働者の生活にも直接的な影響を及ぼす。少子高齢化の中、医療費負担の軽減や医療制度の持続可能性を確保するため社会保障費をどのように分配するかの議論でなく社会保障費の財源を増やしていく必要がある。今後の政策の動向に注目が集まっている。(Tk)

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