機関紙「日赤労働者」
視座
賃金と自己責任論
円安や資源高騰をきっかけに物価が上昇し、人手不足も相まって、賃上げの機運が高まり、厚労省の調査によると2024年の賃上げ率は平均で5・33%と33年ぶりの大幅な引き上げとなりましたが、医療・福祉分野の平均は2・5%で全産業と比べると下回る結果です。2024年診療報酬改定で「ベースアップ評価料」が盛り込まれましたが、世間の賃上げ水準には達していない状況です。
日本の賃金や格差に関して「努力しなかった本人が悪い」「成果を上げないのであれば賃金が下がるのは当然」と、自己責任論が行き渡っています。賃金は“個人の問題”“個人の成績”なのでしょうか。
賃金とは、労働者に備わった「労働力」の対価です。人間に備わった「労働力」は、1日で消耗してしまい蓄えができません。消耗した「労働力」を再生産するための生活費、その仕事をするための体力や知力を身につけるための労力やコストがかかります。
医療・福祉分野からの人材の流出を防ぎ、人材を確保するためにも賃上げは必要で、財源確保のため、国への働きかけも必要です。