機関紙「日赤労働者」
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戦後80年の今年は戦争に関連した行事や報道が多い夏になりました。「木の上の軍隊」や「雪風」など、戦争を描いた映画も複数公開されました▼私の祖父は「雪風」の乗員でした。祖父が語ってくれた戦争は、駆逐艦雪風に乗ってシンガポールに行った、戦艦大和の風呂に入った、東南アジアで連なったバナナの茎を担いで歩いたなど日常の姿だけでした。映画にあったような戦闘について一切話すことはありませんでした。孫に聞かせたくなかったからか、思い出したくなかったからか、今はもう尋ねることができません▼第二次世界大戦後、二度と戦争を起こさないと誓ったはずですが、秘密保護法成立や憲法9条改憲の動き、GDP2%への軍事費拡大、米国の核抑止力利用を自衛隊幹部が要請するなど再び戦争に向かっているようです。ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ地区やイランへの攻撃など、世界では未だに戦争が続いています▼武力行使や戦争では平和は実現しません。憲法9条を持ち、原爆を体験した日本が、アメリカの言いなりになるのではなく戦争終結の和平交渉の先頭に立つことが、戦争に対する反省と非戦の誓いを示すことになるのではないでしょうか。戦争を体験した祖父も、それを望んでいると思います。
(Tn)

