機関紙「日赤労働者」
全ての職員に大幅賃上げを!! ゆとりある人員体制と労働条件の改善で人間らしい生活を 全日赤第78回定期全国大会議案(抜粋)
全日赤第78回定期全国大会は、7月6日(土)から7日(日)にかけて、静岡県熱海市ハートピア熱海に集まり開催します。各単組へは既に招請状を送付し、議案書も単組の必要部数を送付しますが、ここに大会議案の概要を掲載し、議案討議を呼びかけます。
はじめに
2023年度の特徴として、本社が2024年4月1日実施を目指していた「勤務評定結果の勤勉手当への反映」の協議は道半ばの状況であり、一致点を見出すにいたっていないとして実施時期を2025年4月1日にさせ、2026年夏期一時金から割合5対5に、実際に勤勉手当に反映する時期を2026年冬季一時金からとさせました。これは、署名の取り組みや本社要請行動により現場実態を訴えたこと、勤務評定の考え方は違えども、日赤内三組合(全日赤・日赤新労・日赤労組)が先送りで一致できたことによる成果と言えます。
勤務評定は廃止しかない
しかし、勤務評定に関しては、昇格に対する矛盾や逆転現象が起きている実態、恣意的とも言える評価が起きていることなど追及しつづけていますが、本社は「勤務評定は始まったばかりである」ことを言い訳にする不誠実な態度を示しています。
施設では「期初面談すらできていない」「用紙すら配られていない」など本社が考えるスケジュール通りにおこなわれていないのが現状です。
勤務評定はチームワークを乱し、安全・安心の医療・看護・福祉を脅かすものであり、勤務評定を廃止するまで全日赤の総力をあげてたたかいます。
ベア評価料の新設
コロナ禍では医療の脆弱性が露呈されたことにより医療従事者にも注目が集まりました。賃金の低さや劣悪な労働環境が報道されケア労働者の処遇改善の世論が高まりました。
2024春闘では、世間の賃上げ情勢の波を受け、2024年度の診療報酬改定に人件費にしか使うことができない「ベースアップ評価料(ベア評価料)」が盛り込まれました。
これは、コロナ禍以前から医療の人手不足や低賃金を訴えてきた医労連の運動に結集した成果と言えますが、対象施設や職種が決められていることから、日赤内でも対象外となる施設や職種があり、職員間に差別と分断を持ち込むものとなっています。
全職員に実質的賃上げを
2024年賃金交渉は、物価高騰と賃上げ情勢のなか、本社は「世間において賃上げの機運が高まっていること、全日赤から賃上げ姿勢は示してほしいとの強い希望がある」とし、「2024年度において給与の引き上げ改定に向けた検討を前向きに進めてまいりたい」と有額回答はありませんでしたが、賃上げ姿勢を示しました。本社が春闘時期において賃上げ姿勢を回答したのは、24年ぶりのことであり、今回の賃上げ姿勢を示した本社回答について、交渉議事録にすることを約束させたことは今後の賃金交渉をさらにすすめるための足掛かりとなりました。さらに「Rプラン」による枠外昇給と昇格基準の廃止により、中堅層の賃金が頭打ちとなる制度の改善、俸給調整給の支給されている職員を含むすべての職員の賃上げを求め働き続けられる賃金制度の確立を目指して奮闘します。
一時金闘争
一時金闘争の基本的なたたかい方は、(1)春闘時期に、本部本社間の交渉により一時金の「基本額(最低保障額)」として年間の支給月数等を決定します。(2)夏期交渉時期に、単組施設間の交渉により上積み部分の「加算額」を決定し、夏の「基本額」(年間の2分の1)と併せた施設一時金を確定します。(3)秋年末交渉時期に、単組施設間の交渉により上積み部分の「加算額」を決定し、年末の「基本額」(年間の2分の1)と併せた施設一時金を確定します。(4)「一律の支給」を追及するための意思統一が必要であり、本部は学習資料を用意します。
サービス残業は一掃
労基法に定められた36協定の上限規制を守らせる運動を締結時および締結後も追及します。また厚労省が出した「労働時間の適正把握のガイドライン」を活用し、始業前の情報収集や会議・研修が業務であることの確認を迫るとともに、「不適切事例」を用いた指導強化を追及します。併せて職場では「ガイドライン」の内容を学習しながら時間外手当請求運動を増員闘争と位置づけ取り組みを強化します。
労働者代表を勝ち取る
使用者は36協定を結ばずに時間外労働をさせると労基法違反となり罰せられます。そこで、過半数を組織していない単組の施設では、使用者側が組合以外の労働者代表を選出して、施設側に都合の良い36協定を結ぼうとする動きがあります。
単組では、全日赤の「労働者代表のてびき」や「36協定のてびき」を活用し、労基法違反の追及と労働者代表の民主的選出を追及するとともに、労働者代表を獲得するため奮闘します。
年休取得促進
年次有給休暇(以下、年休)の付与基準日に10日以上の年休が与えられる労働者に対して、使用者が1年間に5日は時季を指定して年休を取得させることが義務化されています。本部は年休取得率向上を求めると共に、取得率の詳細なデータ提示を求め、政府が掲げる70%取得(日赤でいうと年間17日取得)を目標に施設指導するよう追及します。
また本社が管理者向けに発出した『労務管理ハンドブック』にも記載されている年休に対する「あげる・いただく」の風潮を無くしながら、請求運動を展開し年休取得促進を図ります。単組では年休および権利休暇の取得は増員闘争と位置づけ追及を強めます。
育児休業
「育児休業」や「介護休業」は毎年のように改正されています。
全日赤は改定内容を反映した「働きつづけよう!パパママ(妊娠・出産・子育ての手引き)」のデータ更新をおこない、全日赤のホームページに掲載します。単組はデータ資料、女性部ニュースを活用して宣伝強化をはかるとともに、さらなる制度の充実を図るよう本社を追及します。
職場環境の改善
すべての施設に「労働安全衛生委員会」を確立し、労働組合から積極的に委員として参加します。委員会では、ハラスメント対策を含む職場環境の改善や健康診断の充実と併せ、医師の長時間労働の改善や各職場の労働時間短縮と増員を結合して、実現を迫るとりくみを強化します。
全日赤の要求により4月より同性パートナーシップと事実婚を法律婚と同様にする取扱いが実現しました。制度を気兼ねなく活用できるよう制度の理解を深める取り組みをおこなうよう本社を追及します。
非正規の処遇改善
2023年4月より国家公務員の定年が60歳から61歳に引き上げられました。今後2年毎に1歳ずつ引き上げられ、2031年度に65歳となります。公務員準拠の本社の定年延長の動きを注視しながら全日赤の要求を策定する議論を始めます。
また当面、退職金の改善と併せ再雇用職員の賃金改善を要求し本社を追求します。
単組では、早期退職勧奨制度の優遇措置による特別退職金の支払いに関して施設追求をおこないます。
本部は、退職や再雇用を希望する職員向けの「FRESH・START(退職再雇用)フレスタパンフ(仮称)」の作成を進めます。
定年制・再雇用制度
2020年4月よりパートタイム有期雇用労働法が施行され、正規と非正規労働者の間の不合理な待遇格差が禁止され、日赤の職場でも処遇格差是正が少しずつ前進しています。引き続き最高裁判決で不支給が不合理とされた「住居手当」や「扶養手当」など支給されるよう処遇改善を追及します。
良い看護のための増員を
患者・利用者が良い看護を受けることができ、私たちが働き続けることのできる勤務態勢を確立するためには増員が不可欠です。そのためにも、各勤務の人数や有給休暇も含めた休日の消化、スタッフの急な休みに対するフォロー体制も含めた職場ごとの必要人数をだし、具体的な増員要求をおこないます。
夜勤改善の実現
夜勤が及ぼす労働者への有害性と同時に、患者・利用者への安全への影響もアピールし、夜勤改善の世論を広げながら、労働条件の改善と労働の質の向上に向けて、「労働時間を週32時間以内」や「夜勤のための勤務免除など実質的な時間短縮」や「インターバルの確保」など夜勤改善と「夜勤回数は月6日(当面8日)」の夜勤協定の締結にむけ奮闘します。
とりもどそう看護のこころ
看護とは、「息をする、食べる、眠る、トイレに行く、体をきれいにする」など他人がこれを代行できない営みの援助をすることです。今こそ、看護の原点に返る必要があります。「患者にとって良い看護とは何か」を追求していきます。看護師に特定行為を強要しないこと等を施設に要求します。
また看護師と看護補助者、介護福祉士との「協働」に向けて業務区分の検討を進めます。
安全で安心できる医療・看護・介護・福祉の実現を
(1)憲法25条の形骸化を許さず、社会保障の削減から拡充への転換を迫る運動をすすめます。(2)医療・介護の保険外しに反対し、患者・利用者の自己負担軽減とあわせ、診療報酬・介護報酬引き上げと処遇改善を求める取り組みを進めます。(3)「医療提供体制の縮小再編成」、「地域医療計画」、「医療費適正化計画」などによる実態を無視した病床削減に反対し、住民本位の保健・医療・介護・福祉のネットワークの確立をめざす運動に取り組みます。(4)国・自治体・公的病院の統廃合・民間移譲に反対し、国の責任による地域医療の拡充をめざす運動に取り組みます。
全日赤の組織をさらに大きく強く発展させよう
定期大会にて「第8次組織拡大強化2ヵ年計画」を策定し組織拡大強化推進委員会を設置します。単年度目標の具体的な取り組みや秋・春の取り組みの協議をおこないます。
単組では、「シン・がんばるマンリーダー」、「シン・がんばるマン」を中心に、地方協や各分野においても組織拡大に奮闘します。
闘争日程について
定期大会にて、2024年度統一要求を決定するとともにスト権を確立します。
要求提出は8月1日を予定し、回答指定日は9月5日、翌日9月6日には統一ストライキを構えて、2024年度賃上げ要求と統一要求の実現を迫ります。