機関紙「日赤労働者」
2023
春闘要求アンケート
賃金の不足感、増額休みも取れず残業
2023年春闘での要求アンケートは、17単組632名分(昨年31単組922名分)を集約しました。職場の不満では、昨年同様「人員が少ない」がトップとなり、賃金の不足感も昨年よりも増えた結果を示しています。
増員・賃金要求がトップ
職場の不満に関する問のトップ3は1位が「人員が少ない」(19・2%)で一番多く、次いで「賃金が安い」(17・6%)で、三番目が「一時金が少ない」(9・0%)となりました。有効回答数から再計算すると「人員が少ない」(45・1%)、「賃金が安い」(40・8%)、「一時金が少ない」(20・9%)になります。
また、昨年より割合が増えたのは、「成果能力主義が強まった」「労働時間が長い」「退職金が少ない」「医療看護の内容が悪い」「上司の横暴」などでした。
50歳代「苦しい」生活実態
生活実態では、「かなり苦しい」と「やや苦しい」を合わせた「苦しい」と答えた人は、昨年より3・9ポイント増加し、45・5%となりました。
年齢別で見ると「苦しい」と答える割合は、年代があがるとともに高割合になっています。
また収入が「増えた」は若年層ほど高くなっていますが、どの年代でもトップ回答は「変わらない」で5割から6割弱です。
住宅費・学費が負担
『生活実感』から負担に感じているものは、全体で「住宅費」(20・4%)が一番多く、次いで「食費」(19・1%)、「社会保障」(18・2%)、「学費」(16・9%)となっています。また、「水光熱費」は5位ですが、昨年より9・6ポイントも増加しています。
不足感5万弱
「賃金の不足感」では昨年より平均163円増加し、4万8998円となりましたが、賃上げ要求額は昨年より716円減少した平均2万9463円となりました。要求額の平均は、多少変動があるものの昨年と同じように不足額4万円台、要求額3万弱の数字となりました。
賃上げ要求額は切り上げて誰でも3万円の賃上げを要求し、併せて日赤の賃金体系が医労連の要求から見て下回ることから、体系是正含め4万以上円を要求としました。
「とても疲れてる」増加
身体の疲れに関しては、昨年同様「とても疲れてる」「やや疲れてる」を合わせて9割以上(96%)が「疲れている」と答えています。
残業時間は減少傾向、しかし、残業無くならず
残業時間の平均時間は、11時間37分で昨年より24分減少しています。
またサービス残業も平均2時間58分で昨年より19分減少しています。平均のサービス残業時間を平均残業時間で割った「サービス残業率」は、25・6%で昨年より2・2ポイント改善されています。月2時間58分のサービスを賃金に換算すると日赤全体の平均俸給額から計算して月額約8449円になり、日赤全体で約5・4億円にもなります。
時間外手当請求しづらい「周囲」と「能力」
時間外手当は、約8割の人が「請求できない」状況です。その理由で一番多いのは、昨年と同様に「周りがみなしていない」(41・4%)で、次いで「自分の能力の問題」25・4%でした。
また時間外請求しない時間帯として、始業前の約5割弱、休憩時間帯では4割弱が請求しないことが「よくある」と答えています。
年休
年休取得の設問は、今回は、年間の付与日数と取得日数、取得予定日数を調査しました。取得日数(予定も含む)を付与日数で割った取得率はグラフ(8)、(9)の通りです。60代以上を除く年代で、また職種も付与日数の4割から5割程度しか取得できない実態です。
請求しない理由は、「請求するなと言われている」と「休む必要がない」が高く2割弱となっています。年休は労働者の権利であり、増員と請求しやすい雰囲気作りを広げる必要があります。
ハラスメント増加
「職場・施設にハラスメントがある」と答えたのが66・2%で昨年より6・4ポイント低くなっています。長引くコロナ禍でストレスは変わらず、さらなる防止策が必要となっています。
勤務評定
「一般的に勤務評定は不必要」は5割を超えていますが、「わからない」は3割、「必要」が1割強でした。特に若年層で「必要」の回答が多い傾向がありました。また「勤務評定必要」の理由として「成果主義賃金は当たり前」「努力している点を評価することは必要」「必要だが上司の評価には差が出る」などありました。「勤務評定不必要」の理由は、「制度内容がわからない」「評価の内容があいまい」「チームワークを乱す」「業務が増える」などがありました。