機関紙「日赤労働者」
2022春闘要求アンケート
賃金の不足感、賃上げ要求ともに増額
2022年春闘の要求アンケートは、31単組922名分を集約しました。職場の不満では、昨年同様「人員が少ない」がトップとなり、要求の不足感も要求額もともに昨年よりも増えた結果を示しています。
賃上げ要求がトップ
職場の不満に関する問のトップ3は昨年と変わらず1位が「人員が少ない」(17・9%)で一番多く、次いで「賃金が安い」(17・5%)で、三番目が「休日が取れない」(10・1%)となりました。回答者数から再計算すると「人員が少ない」(46・7%)、「賃金が安い」(45・6%)、「休日が取れない」(27・5%)になります。
また、昨年より割合が増えたのは、「成果能力主義が強まった」1・9ポイント増、「パワハラ・セクハラ」が1・4ポイント増などでした。
50歳代「苦しい」生活実態
生活実態では、「かなり苦しい」と「やや苦しい」を合わせた「苦しい」と答えた人は、昨年より4ポイント増加し、41・6%となりました。
年齢別で見ると「苦しい」と答える割合は、年代があがるとともに高割合になっています。
また収入が「増えた」は若年層ほど高くなっていますが、どの年代でもトップ回答は「変わらない」で5割から6割となっています。
住宅費・学費が負担
『生活実感』から負担に感じているものは、全体で「住宅費」が一番多く、次いで、「学費」、「社会保障」、「食費」となっています。
不足感5万弱
「賃金の不足感」では昨年より平均238円増加し、4万8853円となり、賃上げ要求額も昨年より1149円増加し、平均3万179円となりました。要求額の平均は、多少変動があるものの昨年と同じように不足額4万円台ですが、要求額は3万超えの数字となりました。
要求額は切り上げて誰でも3万1000円の賃上げを要求し、併せて日赤の賃金体系が医労連の要求から見て下回ることから、体系是正含め4万円以上を要求としました。
「とても疲れてる」増加
身体の疲れに関しては、昨年同様「とても疲れてる」「やや疲れてる」を合わせて9割以上(96・7%)が「疲れている」と答えており、「とても疲れている」は4・1ポイント増加しています。
残業時間は減少傾向、しかし、残業無くならず
平均残業時間は、12時間6分と昨年より約30分増加しています。
またサービス残業も平均3時間22分で昨年より29分増加しています。平均のサービス残業時間を平均残業時間で割った「サービス残業率」は昨年より2・8ポイント悪化しています。月3時間22分のサービスを賃金に換算すると日赤全体の平均俸給額から計算して月額約7568円になり、日赤全体で約4・9億円にもなります。
時間外手当請求しづらい「周囲」と「能力」
時間外手当は、8割の人が「請求できない」状況です。その理由で一番多いのは、昨年と同様に「周りがみんなしていない」(36・4%)で、次いで「自分の能力の問題」26・2%でした。
また時間外請求しない時間帯として、始業前が約5割強、休憩時間帯では4割強が請求しないことが「よくある」と答えています。
年休取得日数は増加
年休の取得平均日数は昨年より1・1日増加し平均11・1日となっていますが、5日以下の取得が1割となっており「年休5日取得義務化」に抵触している実態です。
年休請求は8割がしたことがあり、約半数が希望通り取得できている一方で、2割が請求していません。請求しない理由は、「みんなが請求しない」と「職場に迷惑がかかる」が高く3割となっています。年休は労働者の権利であり、増員と請求しやすい雰囲気作りを広げる必要があります。
ハラスメント増加
「職場・施設にハラスメントがある」と答えたのが72・6%で昨年より11・4ポイントも多くなっています。コロナ禍により労働強化や個々人のストレスも溜まっていることも要因と推測され、さらなる防止策が必要となっています。
コロナの影響では、3割が勤務時間の変更や時間外の増加があり、6割が差別感を感じています。
勤務評定
「勤務評定は不必要」は5割を超えていますが、「わからない」は3割、「必要」が1割でした。
「不必要」の理由は、「尺度が明確でない」「協力体制がくずれる」「成果主義と言いつつ人件費削減が目的である」「評価者に逆らえない」などがあり、一方「必要」の理由は「職員の質を上げるのは必要」「真面目な人ほど損をしている」「指針になる」などありました。